RE100加盟の53社が政府に書簡を送付
〔1〕RE100:日本地域のパートナーはJCLP
2021年3月22日、日本に本社を置き事業展開する国内外の「RE100」(100% Renewable Electricity)加盟53社は、JCLPと連携して、日本政府に向けて、再エネ導入拡大を求める書簡を送付した。
RE100は、事業活動で使用する電力を100%再エネにすることを目指す組織である。図1に示すように、全世界に影響力のある企業および投資家らによって結成された国際的な連合体 「WBM(We Mean Business注4)」と連携する「TCG(The Climate Group)」が、「CDP」(炭素開示プロジェクト)とのパートナーシップのもとで主催している組織である。
図1 脱炭素化社会(パリ協定の実現)を目指す各組織の連携例およびJCLPの役割
WBM:We Mean Business(我々はビジネスを意味する)は、「我々は本気で温暖化対策(現在はパリ協定の実現)をビジネスの問題として考えている国際連合」を意味する
TCG:The Climate Group、温室効果ガスのネットゼロを目指す国際NPO
CDP:旧名称「Carbon Disclosure Project」(炭素開示プロジェクト)。気候変動対策に関する情報開示を推進する投資家の連合体
ASE:Alliance to Save Energy、省エネルギー連盟
RE100:100% Renewable Electricity、事業の電力を100%再エネで目指す組織
EP100:100% Energy Productivity、事業のエネルギー効率の倍増を目指す組織
EV100:100% Electric Vehicles、事業で使う自動車の100%EV化を目指す組織
出所 各種資料をもとに編集部で作成
図1下段に示すように、JCLPは、RE100に関する日本地域の公式パートナーにもなっている。
〔2〕政府への書簡の内容
今回、日本政府に送付した再エネの導入拡大を求める書簡に署名した、RE100加盟53社の企業リストを表3に示す。
表3 日本政府向け書簡に署名したRE100加盟企業(内外53社、企業名左列よりABC順)
書簡の冒頭には、「エネルギー基本計画」注5の見直しに併せて2030年の再エネ目標を、22〜24%から50%へ引き上げることは、市場に対する強力なシグナルとなり、経済のグリーンリカバリーの推進に役立つこと。また、価格変動や地政学的なリスクを多大に有する化石燃料への依存を減らすことにもなること。さらには、企業が再エネを利用しやすくすることで、日本の排出実質ゼロ目標達成に向け、自社の対策を推進する多く企業の後押しをすることとなる」と要請している注6。
また、同書簡では、RE100がTCGおよびCDPと協力して策定し、2020年12月に発行したRE100レポート(図2)注7の調査結果では、世界で、100%再エネに転換するのに最も困難な市場のトップ10の中に、日本を挙げている。
図2 RE100レポートにおける調査結果(2020年12月発行)
困難な市場とは、再エネの需要は高まっているが、コストが高く入手方法が限られている市場ということである。
書簡の中で、日本のRE100参加企業の再エネ比率は現在14%、それに対して英国は91%、インドは39%となっており、「今後、企業を含む電力需要家に対するコスト低減を実現するには、JCLPも提言するように、送電網の整備やオフサイト型コーポレートPPA(直接電力購入契約)を可能とする環境整備など、再エネ拡大に資する政策が必要である」と指摘している。
▼ 注4
We Mean Business:イケア※財団の支援を受けて結成された国際的連合体(加盟1,665社。時価総額は2,480兆円、2021年3月現在)。We Mean Business(我々はビジネスを意味する)とは、「我々は本気で温暖化対策(現在はパリ協定の実現)をビジネスの問題として考えている」ということを意味する。
※イケアは、1943年にスウェーデンで創業。現在、本社はオランダ。
https://www.wemeanbusinesscoalition.org/
▼ 注5
エネルギー基本計画:2018年7月に策定された第5次「エネルギー基本計画」のこと。
▼ 注6
「書簡(日本語翻訳)RE100-Letter Japan」をクリックすると見ることができる。
▼ 注7
RE100レポート:100%再生可能電力に取り組んでいる世界の261社の主要企業のデータに基づいて策定された報告書。
同レポートでは、100%再エネへの転換が最も困難な市場のトップ10として、アルゼンチン、オーストラリア、中国本土、インドネシア、日本、ニュージーランド、ロシア、シンガポール、韓国、台湾の10カ国を挙げている。