[特別レポート]

ファーウェイのハイブリッド蓄電システム戦略!

― AIを駆使しアーク防止機能で火災事故も防止へ ―
2021/06/04
(金)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

華為技術日本(ファーウェイ・ジャパン、写真1、表1。以下、ファーウェイ)は、コロナ禍で2年ぶりにリアル開催された「Interop Tokyo 2021」(2021年4月14〜16日、千葉県・幕張メッセ)注1で、クラウドコンピューティングからモバイルコンピューティング、リチウムイオン無停電電源装置(UPS)に至るまで、多彩な分野の製品群を展示した。
ここでは、AI機能やMPPT(最大電力点追従制御機能)、アーク防止(AFCI)機能などを搭載した先進的な「住宅用の蓄電システム」について、レポートする。

ファーウェイがハイブリッド蓄電システムで日本市場へ参入

写真1 Inerop Tokyo 2021のファーウェイ・ジャパンのブース

写真1 Inerop Tokyo 2021のファーウェイ・ジャパンのブース

出所 編集部撮影

〔1〕ファーウェイのハイブリッド蓄電システム

 ファーウェイは、今年(2021年)から「住宅用蓄電システム」分野のビジネスに、日本で本格的に市場参入している。

 この背景には、日本で「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)」の実現に向けて、卒FITや再エネの主力電源化に向けた太陽光発電(PV)市場が、急速に拡大していることが挙げられる。

 ファーウェイは、全世界市場で、産業用パワーコンディショナー(以下、パワコン)において、すでに産業用太陽光市場を中心に180GW(大型火力発電180基分に相当)のパワコンを出荷するなど、世界のトップシェアを占めている。

 そのファーウェイが、産業用市場での実績を背景に、日本で2020年11月に、「ハイブリッド蓄電システム」を発表した。

 同システムは、

  1. 「太陽光パネル」と「蓄電システム」(LUNA2000)
  2. AIを駆使した「住宅用パワコン」(SUN2000)

を連携させた新しい蓄電システムである(後出の図1参照)。

表1 華為技術(ファーウェイ)のプロフィール(敬称略)

表1 華為技術(ファーウェイ)のプロフィール(敬称略)

出所 Corporate Profile 2020等をもとに編集部で作成

〔2〕ハイブリッド蓄電システムの構成

 写真2(1)は、ファーウェイの住宅用蓄電システム(左)とハイブリッド型パワコン(右)の外観である。

写真2 ファーウェイの住宅用ハイブリッド蓄電システム

写真2 ファーウェイの住宅用ハイブリッド蓄電システム

DC/DCコンバーター:あるDC(Direct Current、直流電源)の電圧を、別のDC(Direct Current、直流電源)の電圧へ変換する機器。例えば200Vの直流電圧を400Vの直流電圧に変換する。
MPPT:Maximum Power Point Tracking、最大電力点追従機能。太陽電池が発電する場合に、気象条件等の変化によって常に変動する出力を最大化できるように、最適な「電流×電圧の値」(最大電力点)を自動的に追従し動作させる機能のこと
出所 編集部撮影、および『HUAWEI:FusionSolar「住宅用蓄電システム」、Interop 2021』をもとに編集部で加筆修正して作成

(1)住宅用蓄電システムの構成

 写真2(2)に示す住宅用蓄電システムは、4段構成になっており、

① 最上位にDC/DCコンバーターが1台(12kg)
② その下に、5kWhの蓄電池モジュール(50kg)を3台(5kWh+5kWh+5kWh)

が接続可能となっている。

 そのため、用途に応じて(需要が増えた場合などに応じて)、5kWh、10kWh、15kWhと、ビルディングブロック(積み重ね)方式で15kWh(5kWh×3台)まで増設可能となっている。

 さらに、DC/DCコンバーターを2台連結させることも可能なため、最大30kWh(15kWh×2台)までの蓄電池容量を拡張可能となっている。

 蓄電池モジュールの電池セル注2には、住宅などの定置用向けに、スマートフォンやノートPCなどの移動用途に使われる軽量なリチウムイオン(LIB)に比べ、エネルギー密度はやや低くて重いが、熱に強く安全性が高いリン酸鉄リチウムイオン電池(LiFePO4)が使用されている(後出の表4参照)。

(2)高効率なハイブリッド型パワコン

 一方、定格出力4.95kWで最大効率97.5%と高効率なハイブリッド型パワコンは、重さは19kgと軽く、体積は写真2(3)に示すように、365×649×159mmと、既存の製品よりも20〜30%小型となっている。

 このように軽量で小型のため、現場での取り付けや設置などの施工工事が容易であることや、住宅の壁面などに負担がかからない。

 さらに、ファーウェイは、同社のメイン事業である新世代の5Gモバイルシステム向けに開発した放熱フィン(半導体などから発する熱を逃がすためのパーツ)を利用している。そのため、冷却用のファンを使用しない、ファンレスのパワコンとなっていることも特徴の1つだ。


▼ 注1
Interop Tokyo 2021:2021年4月14〜16日の3日間、「Now or Never〜DX:今・やる!」をテーマに、千葉県幕張メッセで2年ぶりにリアル開催された。並行してオンラインイベントも開催された(主催:Interop Tokyo 実行委員会、運営:インターネット協会/ナノオプト・メディア)。
来場者数は3万7,703人(2019年は15万5,801人)。

▼ 注2
電池セル:蓄電池の基本単位。電池セルを複数個接続したものを蓄電池モジュール、さらにモジュールを積層したものを電池パックという。

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