経済産業省は、2050年カーボンニュートラルの目標に向けて、令和2(2020)年度第3次補正予算で、2兆円の「グリーンイノベーション基金」をNEDOに創設した。
経済産業省の産業構造審議会 グリーンイノベーションプロジェクト部会が分野別資金配分方針を決定し、同部会の分野別ワーキンググループである「エネルギー構造転換分野ワーキンググループ」で、水素関連プロジェクトの研究開発・社会実装計画を策定し発表した注1。
具体的には、次の通り。
- 水素の大規模需要の創出とともに供給コスト低減を可能とする技術を確立し、2030年に水素供給コスト30円/Nm3、2050年20円/Nm3以下(化石燃料と同程度)の達成を目指す。
- 余剰再エネなどを活用した国内水素製造基盤の確立や、先行する海外市場獲得を目指して、水電解装置の大型化やモジュール化、優れた要素技術の実装、基礎化学品や熱需要の脱炭素化実証といった技術開発等を支援し、Power-to-Xシステム(図)による水電解装置コストの最大1/6程度の削減を目指す。
図 Power-to-Xシステムの構成例:再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造
Power-to-X:Power-to-Gas、Power-to-Liquid、Power to Chemicalsなどの総称。太陽光や風力などの再エネ電力で、例えば①水素を製造することをPower-to-Gas、②メチルアルコール等の液体燃料を製造することをPower-to-Liquid、③アンモニア等の化学物質を製造することをPower-to-Chemicalsという。
出所 https://www.meti.go.jp/press/2021/05/20210518003/20210518003.html
NEDOのグリーンイノベーション基金事業では、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援する。同基金については、2021年5月18日から公募が開始された注2。
注1
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/green_innovation/energy_structure/001.html
注2
https://www.meti.go.jp/press/2021/05/20210518005/20210518005.html