図 『排出ギャップ報告書2021』の表紙(全80ページ)
COP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)開催注1直前の10月26日、最新の2021年版『排出ギャップ報告書2021』(Emissions Gap Report 2021)が発表された。同報告書は、パリ協定の1.5℃および2℃の温度目標について、現状と2030年に予想されるCO2排出量のギャップ(差)に関する最新データを分析したもので、2013年以来、毎年発行されている。
2021年版は、「The Heat Is On」(熱がオン、図)というタイトルに見られるように、真っ赤な灼熱色を使用して「加熱する地球」を端的に表現した表紙となっている。
表 『排出ギャップ報告書2021』の目次構成
2021年版の同報告書は、地球規模の環境課題に取り組む「国連環境計画」(UNEP)が開催した、2021年10月26日のオンライン記者会見で、アントニオ・グテーレス国連事務総長とインガー・アンダーセンUNEP事務局長によって発表されたもの(表参照)。
現在、COP26に向けて世界各国は、室温効果ガス(CO2)の排出削減目標(NDC)を、野心的な目標に更新しているところだ(日本は26%から46%に更新)。しかし、直近の2021年9月末までに各国で更新され提出されたNDCを集計したところ、2030年の排出量(削減目標)から7.5%しか減らず、1.5℃のパリ協定の目標を達成するために必要な55%削減とは大きなギャップが生じている。このままの排出削減では、今世紀中に産業革命前と比較して2.7℃以上に上昇してしまうと分析された。今回のCOP26で、温室効果ガスの削減目標をどこまで合意できるか、地球の存亡をかけたCOP26となる注2。
注1 英国・スコットランド南西部のグラスゴーで2021年10月31日〜11月12日に開催。