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関西電力、ダムの維持流量を利用した水力発電所を新設へー2021年11月に営業運転開始の予定

2018/04/23
(月)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

関西電力は、岐阜県飛騨市河合町にある「下小鳥ダム」に、河川維持流量を利用した水力発電所「下小鳥維持流量発電所(仮称)」を新設すると発表した。

関西電力は2018年4月19日、岐阜県飛騨市河合町(かわいちょう)にある「下小鳥(しもことり)ダム」に、河川維持流量を利用した水力発電所「下小鳥維持流量発電所(仮称)」を新設すると発表した。下小鳥ダムは関西電力が保有しており、このダムを利用した「下小鳥発電所」(出力142MW=14万2000kW)を1973年から運営している。今回は、ダム下流の生態系を守るために常時流している「河川維持流量」を利用した水力発電所を建設する。ちなみに最近は、営業エリアに多数の河川と水力発電所を保有する中部電力が、河川維持流量を利用した水力発電所を積極的に建設している(参考記事)。

図 「下小鳥維持流量発電所(仮称)」の建設予定地

図 「下小鳥維持流量発電所(仮称)」の建設予定地

出所 関西電力

下小鳥ダムは神通川(じんつうがわ)水系の小鳥川(おどりがわ)流域に位置している。新設予定の水力発電所は、河川維持流量を100.41mの高さから落とし、水車を回して発電する。水車に流れ込む水量は最大で毎秒0.64m3。最大出力が480kWで、年間発電量はおよそ2.54GWh(254万kWh)となる見通しだ。関西電力は年間におよそ1400トンのCO2削減効果があると見込んでいる。

維持流量発電所の大きな特徴は、設備利用率の高さにある。設備が稼働する時間が長く、休止時間が短いため、出力が低い発電設備でも大きな発電量を見込める。経済産業省の調達価格等算定委員会によると、太陽光発電設備の年間使用率は平均13.8%。関西電力が新設する発電所の設備利用率を計算すると、およそ60.4%となる。同程度の発電量を太陽光発電で確保しようとすると、出力およそ2.1MW(2100kW)の発電設備が必要になる(設備利用率を13.8%とした場合)。

関西電力は下小鳥維持流量発電所(仮称)の建設工事を2019年11月に開始し、2021年11月に営業運転を開始する予定を立てている。同社は今後も、水力発電など再生可能エネルギーの開発び積極的に取り組むとしている。


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関西電力

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