POWERGsの特徴と当面のビジネスターゲット
ACCESS 営業本部 営業部 部長 林 純一郎氏は、図2のエネルギーマネジメント市場の全体イメージを示しながら、POWERGsの特長について、「POWERGsは、表2に示すように、エネルギーマネジメントに面倒な作業をすることなくワンストップでサービスを提供でき、しかも低コストで運用できることが何よりも大きな特長となっています」と強調した。
図2 エネルギーマネジメント市場の全体のイメージ
PoC:Proof of Concept、概念実証(実証実験)。新しい技術や事業アイデアの実現性や効果測定について、事前に詳細な検証を行うこと。
PPA:Power Purchase Agreement、電力販売契約。電力事業者と需要家間で結ぶ契約モデル。
V2X:Vehicle to X。クルマから例えば家庭やビル(X)に蓄電池の電気を送電すること
出所 株式会社ACCESS、「ACCESS取り組みご紹介」、2022年1月
表2 ワンストップでサービスを提供するPOWERGs
出所 株式会社ACCESS、「ACCESS取り組みご紹介」(2022年1月)をもとに編集部で作成
さらに当面のビジネスターゲットについては、次のように語った。
「2019年11月からFIT(Feed-in Tariff、固定価格買取制度)期間が順次終了しているため、電力会社が買い取っていた再エネ電力は、FIT制度を卒業(10kW未満の住宅用太陽光発電の場合)し、“卒FIT”電力として、現在、自家消費するか卸市場で自由に取引きできる電力となっています。このため、図3に示すように、2019年の11月と12月だけで約53万件(200万kW)が卒FIT対象となり、直近の2023年までに累積で、約165万件670万kWに達します。ですから、POWERGsはまずは住宅向けビジネスを展開している、アグリゲーターをターゲットにしています。」
図3 住宅用太陽光発電設備のFIT買取期間終了に向けた対応
具体的には、家庭における太陽光発電による電気の自家消費や、AIを活用した充放電の最適化などが急速に進むことが予想されている。さらに、VPPや電力のP2P取引注4において、卒FIT電源や蓄電池、BEVによるV2H(電気自動車から家庭への送電)などが活用され、エネルギーの最適化が進展していくと予測されている。
林氏は、「間もなく2022年4月1日からFIP制度がスタートしますが、これによって、FIT期間が2012年から20年間(2032年まで)と定められていた出力50kW以上の事業用太陽光発電の一部は、FIP制度への移行が可能(すなわち卒FITが可能)となります(表1を参照)。このようなFIP制度は、今後、小売電気事業者やアグリゲーターにとって、新たな供給力や需要を獲得するビジネスチャンスともなりますので、POWERGsゲートウェイは家庭向けだけではなく、事業向けにも展開していきます」と、新しいFIP制度の中でもPOWERGsゲートウェイが展開できるため、その期待を語った。
▼ 注4
P2P電力取引:Peer to Peer電力取引。これまでは、電力会社が需要家(Peer)に一方的に電気を供給していた。これに対して再エネ時代では、太陽光発電や蓄電池など分散型電源もつ需要家(Peer。個人や企業等)が自ら発電した電気(あるいは蓄電池)を、他の需要家(Peer)に電力を供給する「需要家(Peer)⇔ 需要家(Peer)」の新しい電力の取引方法。