POWERGsの仕組み
それでは「POWERGs」は、どのような仕組みになっているのだろうか。
〔1〕見える化する「クラウドアプリケーション」+「プラットフォーム」
図4にPOWERGsの仕組みを示す。POWERGsは大きく、
- 需要家の使用電力量や発電量、蓄電池の充電量など需要家側の電力を「見える化」する「クラウドアプリケーション」(POWERGsクラウド)
- エネルギー機器をクラウドに接続するゲートウェイやLTE回線をワンセットで提供するプラットフォーム(POWERGsゲートウェイ)で構成されている。さらに、POWERGsクラウドはインターネットを介して、
①アプリケーションサービス利用者(送配電事業者や小売電気事業者)
②VPP アグリゲーションコーディネーター(AC)やVPP リソースアグリゲーター(RA)と接続される。 - LTE/ECHONET Liteに対応するPOWERGsゲートウェイの下には、低圧スマートメーター、蓄電池、太陽光発電装置、EV充放電装置、エネファーム、エコキュートなどが設置される。
図4 「POWERGs」の仕組み:需要家の電力をクラウドアプリケーションで見える化しワンセットで提供
出所 株式会社ACCESS、「ACCESS取り組みご紹介」(2022年1月)をもとに一部修正して編集部で作成
〔2〕複数メーカーの機器を接続して一元管理・運用が可能
図4に示すように、POWERGsゲートウェイにはスマートメーターやエアコン、蓄電池、太陽光発電など、これまでHEMS(住宅用エネルギーマネジメントシステム)に接続されていた8種の重点機器(後出の表4「用語解説」を参照)を接続して、エネルギー管理をすることができる。
林氏はPOWERGsゲートウェイの特長について、「機器メーカーが1社のみの機器であればうまくつなげることができますが、最近は複数メーカーの機器を接続して使いたいというご要望が多くあります。POWERGsゲートウェイでは複数メーカーの機器を一元管理でき、課題解決ができるようになりました。また、このPOWERGsゲートウェイは、ゲートウェイを管理するクラウドに接続されています。ですから、外部(遠隔)からパソコンやスマートフォンなどのWeb画面上で、同ゲートウェイが正常に稼働しているかどうかを監視する“死活監視”や“状態監視”などが容易にできます」と語った。
〔3〕一般的なHEMSゲートウェイとの違い
ACCESSは、すでにHEMS向けの通信プロトコルであるECHONET Liteのソフトウェア開発キット(SDK)や、太陽光発電用のPCS(パワーコンディショナー)監視システムなどのほか、政府のVPP構築実証事業向けにゲートウェイを開発するなど、先進的に事業を展開してきた。
表3に、今回発表したPOWERGsゲートウェイの仕様を示す。
表3 POWERGsゲートウェイの仕様
※1 機器オブジェクトは用途別に7種類のグループ(クラスグループ)に分類されている。
出所 株式会社ACCESS、「ACCESS取り組みご紹介」(2022年1月)をもとに一部加筆修正
すでに建物内に設置されているネットワーク環境(例:Wi-Fi環境など)下でクラウド連携を行う場合、HEMSゲートウェイの設置場所(あるいはWi-Fiルータを移動するなど)によって、電波を受信しにくくなってしまう場合などが生じ、安定的に無線通信を行うことに課題が生じている。そのため、最近では、HEMSゲートウェイに安定したLTE(SIMを搭載)で対応するケースも出てきている。
POWERGsソリューションのアドバイザーを担当する奥瀬氏は、「LTE回線を用いて運用・管理する場合、そのサポート体制を構築する必要があるため、どうしても通信事業者の知見が必要になります。そこで、NTTドコモの「ドコモIoTマネージドサービス」を利用し、さらにACCESSがもつECHONET Liteミドルウェアやこれまで取り組んできたVPP向けゲートウェイ開発などの知見を活かして、POWERGsゲートウェイをスムーズに導入できる環境を、アグリゲーターに提供していきたいと思っています」との見解を示した。
さらに、現在、次世代スマートメーターの新しい標準仕様の完成が間近な(2022年3月末頃)こともあり、次世代スマートメーターへの対応も検討中とのことである。