東芝は2017年3月1日、東京電力エナジーパートナーと「ネガワットアグリゲーター契約」を締結したと発表した。ネガワットとは、節電活動によって実際に節約できた電力量の合計。ネガワットアグリゲーターは、電気事業者からの要請を受けて複数の電力利用者に節電を依頼し、それぞれの節電量をまとめて「利用可能な電力」として電気事業者に販売する事業者を指す。契約を締結したことで、東芝は東京電力エナジーパートナーからの節電依頼を受けたら、複数の電力利用者に節電を依頼し、「ネガワット」を作り出す。
東芝は、これまで積んできた実績を生かすことで、高い精度でネガワットを提供できるとしている。横浜スマートシティプロジェクトでのデマンドレスポンス実証事業や、経済産業省による各種デマンドレスポンス実験を通して、電力利用者それぞれの特性や、天候などの影響で必要な削減量がどのように変動するのかといった知見を得てきた。
こうして得た知見を活かして、ネガワットが必要になったときに節電を依頼するときに、天候や電力利用者の利用パターンなどを考慮して、節電依頼先の電力利用者を最適な形で選び出す技術を開発しているという。
図 電力利用者の特性を読んで、節電依頼先の最適な組み合わせを選び出す
出所 東芝
経済産業省が実施した2016年度「高度制御型ディマンドリスポンス実証事業」で、東芝は9件の電力利用者から5件を選び出し、参加業者の中で最高の精度で電力量削減を達成したという。削減量4000kWの設定で、4055kWの節電に成功し、その精度は101.4%となった。
図 指定の節電量に対し、参加業者の中で最も高い精度での節電に成功している
出所 東芝
東芝は今後、蓄電池やIoTに関する技術とVPP(Virtual Power Plant)事業に取り組んで得た知見を活用して、電力業界にさらに新しい技術を提供していく方針を示している。
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