POWERGsのソリューション例
POWERGsでは具体的にどのようなことができるのか、そのソリューション例を紹介しよう。
〔1〕住宅用の低圧需要家向けソリューションの例
図5は、住宅用(出力10kW未満)の低圧需要家向けシステムで、図5右上に示す再エネアグリゲーションコーディネーターと低圧需要家(住宅)が電力取引を行うソリューション例である。
図5 POWERGs:低圧需要家向けソリューションの例
出所 株式会社ACCESS、「ACCESS取り組みご紹介」、2022年1月
図5に示すように、POWERGsクラウド上には、サカイガワの「エネマネプラットフォーム(HEMSサーバとVPPリソースアグリゲーターにサービス連携APIでさまざまなサービス展開を可能とする構想)」とエナジーゲートウェイの「蓄電池AI最適制御システム」があり、LTE回線を経由して、POWERGsゲートウェイと接続されている。これらを、2023年春に、低圧需要家宅向けの蓄電システムとして、市場に投入することを目指している。
一方、POWERGsゲートウェイには、椿本チエインの「EV充放電装置:eLINK」と、サカイガワの「住宅用蓄電システム:SUN RAGE」が、有線LAN(イーサネット)上でも動作するECHONET Liteプロトコルを介して接続されている。
〔2〕EV充放電装置向けソリューションの例
図6は、POWERGsクラウドを経由して、POWERGsゲートウェイを再エネアグリゲーションコーディネーターのVPPサービスシステムと接続し、V2X〔電気自動車から需要家(ビル)へ電気を給電〕を実現するEV充放電装置向けソリューションの例である。
図6 POWERGs:EV充放電装置向けソリューション
出所 株式会社ACCESS、「ACCESS取り組みご紹介」、2022年1月
図6に示すように、POWERGsゲートウェイの下には、ニチコンの「EV充電装置:EVパワーステーション」と椿本チエインの「EV充電装置:eLINK」が、ECHONET Liteで接続されている。このソリューションはすでに完成しており、複数の顧客から問い合わせがきているという。
奥瀬氏は、「POWERGsゲートウェイをENEX2022で展示したところ、再エネの主力電源化への関心が高いこともあって、ACCESSブース(写真1参照)への来場者からは、ゲートウェイの効用や具体的なビジネスに至るまで多くの質問が寄せられました。表3に、POWERGsゲートウェイの仕様を示しましたが、例えば、イーサネットが4ポート付いていて、これに直接、蓄電池などを有線で接続し、スマートメーターはWi-SUN無線のドングルを差して、Wi-SUN通信を行います」と、同製品の特長を述べた。
写真1 ACCESSの展示ブースの様子:POWERGsゲートウェイ&各種ソリューション
出所 ACCESS提供
POWERGsゲートウェイは、間もなくエコーネットコンソーシアムから、ECHONET Lite のAIF(アプリケーションインタフェース)適合認証を受ける予定となっている。同製品は、NTTドコモから提供される。
脱炭素の実現に新たな活用も期待できる「POWERGs」
ここまで、需要家向けのPOWERGsゲートウェイおよびPOWERGsクラウドについて概観した。
今後、POWERGsゲートウェイへの接続機器については順次接続検証を行い、定置型蓄電池をはじめ、EV(電気自動車)充放電装置、電力計測装置、エコキュート、ハイブリッド給湯器など、順次接続機器を拡大していく予定だという。
エネルギーマネジメントに面倒な作業をすることなくワンストップでサービスを提供でき、かつ低コストで運用できる「POWERGs」は、脱炭素を意識せざるを得ないこれからの時代に、CO2排出量の測定や見える化など、新たな活用も期待できそうだ。ACCESSの今後の開発に期待したい。
なお、表4に、本記事に登場する主な用語解説を示したので。参考にしていただきたい。
表4 本記事に登場する主な用語解説
出所 各種資料を参考に編集部で作成