初めて10万人を超えたCOP28の参加者
─編集部 ところで、今回のCOP28の参加登録者は初めて10万人を超えた(図3)という点でも注目を集めたCOPとなりましたね注4。
図3 COP参加者の推移
※1 2020年11月の開催予定のCOP26は、新型コロナウイルスの感染拡大で2021年11月1日~12日へ延期開催された(開催地:英国グラスゴー)。
※2 【参考】COP28(2023年)の参加登録者数:「UNFCCC Conference of the Parties Twenty-eighth session United Arab Emirates, 30 November to 12 December 2023 Provisional list of registered participants」, 30 November 2023
出所 田村堅太郎、IGES気候変動ウェビナーシリーズ「COP26の成果:気候変動トラック」をベースに編集部で作成
【参考】2023年12月22日発表の確定参加者は以下のURL
https://unfccc.int/sites/default/files/resource/cp2023_inf03.pdf
田村 はい。関心をもっていただいて大変うれしく思います。新型コロナウイルスの感染拡大の影響でCOPが延期されることもありましたが、2年前のCOP26あたりから、COPにおいて気候変動に関する様々な課題や目標が整備されてきました。今回のCOP28では、これらを整理した課題や目標を実行していくフェーズを迎えたため、関心が高まってきたのだと思います。このため産業界、金融界、エネルギー業界をはじめ、自治体や政府、市民団体、ユース(若い世代)等々、多彩な方々が参加するようになり参加者が増えているのだと思います。
COP28は、中東の産油国エリアで開催されたこともあって、石油関連や化石燃料関連業界からの参加者も多かったと聞いています。
立ち上がる若者(ユース):強い危機意識からのアピール
─編集部 若者の参加者はいかがでしたか。
田村 日本からも多くの高校生や大学生などの若者が参加されていました。私たちIGESが、COP28直前ウェビナーを開催してきたこともあって、会場で「ウェビナーの田村さんですね。見てますヨ!」と声を掛けられて恥ずかしくもありましたが、とても嬉しかったです。
特に、スウェーデンのグレタ・トゥーンベリ(Greta Thunberg)さんが登場し活躍されて以降、「自分たち若者が一番気候変動の影響を受ける世代なのに、その声が反映されないなんてそれは大きな不正義だ」との強い危機意識からのアピールが多くの共感を得て、日本も含め世界で気候変動問題に対して積極的に活動する若者が増えているという印象をもちました。
─編集部 編集部もIGESのCOP28直前ウェビナー(2023年11月10日~11月27日に5回)注5を視聴して勉強させていただきました。
その直後のCOP28開催中の12月5日、日本の若者たちが設立した気候温暖化をくい止め、サステナブルな社会を構築するための若者のプラットフォーム「一般社団法人SWiTCH」注6がJNCCA注7に協力して、現地からCOP28オンラインツアーを開催しましたよね(写真4)。このYouTube動画ではCOP28の各国のパビリオンが丁寧に紹介されていて、日本の若者の活躍ぶりや心意気が伝わってきました。
写真4 SWiTCHが協力して実施したCOP28オンラインツアー(写真左)とJAPANパビリオンの入り口(写真右)出所 SWiTCH:「【COP28】ドバイから生配信 オンラインCOP会場ツアー開催しました!」
注4:COP28の参加登録者(COP28初日の2023年11月30日に発表)は、オンサイトとリモートを合わせて100,446名。なお、COP28の確定参加者(2023年12月22日発表)はオンサイトとリモート合わせて85,973名。図3に示す参加者数は、いずれも参加登録者を示す。
注5:COP28直前ウェビナー
注6:SWiTCH
注7:JNCCA:Japan Network for Climate Change Actions、一般社団法人地球温暖化防止全国ネット、2010年8月に設立。