[特別レポート - 自然エネルギー財団セミナーレポート]

2030年度までに世界の再エネを3倍化しCO2排出ゼロへ 〈後編〉

世界で拡大するコーポレートPPA の導入、工場では化石燃料の再エネ化(電化)を推進
2024/03/12
(火)

【事例3】住友ゴム工業:再エネとグリーン水素でタイヤを製造

 住友ゴム工業は福島県白河工場で、水素エネルギーと太陽光発電(従業員駐車場で太陽光発電パネル使用)を使用した日本初の製造時〔スコープ1、スコープ2(自社間接排出分)〕カーボンニュートラルを達成し、2023年1月から、量産タイヤを生産している(図6)注10

図6 住友ゴム工業の太陽光発電による電力とグリーン水素

[出典]住友ゴム工業、「タイヤ製造における水素エネルギーの活用」
出所 自然エネルギー財団 石田雅也、「2030年にCO2排出ゼロへ 先進企業の自然エネルギー(再エネ)調達」、(自然エネルギー3倍化セミナー)、2024年1月17日

【事例4】米国GM(ゼネラルモータース):サプライチェーン全体のCO2削減を促進

 今後、自動車メーカーなどに、部品等を製造し納入するサプライチェーン各企業においても、再エネの導入は避けられない。石田氏は、米国のGM(ゼネラルモータース)における気候変動対策を事例として挙げた。
 GMでは、Appleと同様、サプライチェーン全体のCO2削減を推進している。その中で、
 (1)専門サービスは2025年までに
 (2)製造に関しては2035年までに
 (3)素材と輸送は2038年までに
と、サプライヤーのスコープ1とスコープ2全体でのカーボンニュートラルを達成するよう要請している注11

※   ※   ※   ※

 最後に石田氏は、「エレクトロニクス産業、自動車産業、それ以外の産業においても、再エネを使用したCO2削減の要請はどんどん広がってきています。各企業においても、再エネの導入とそれによるCO2削減は今後ますます求められてくるはずです」「日本においても再エネを大量に、かつ安く使えるようにすることが、これからの企業の競争力、引いては国全体の産業力の向上に大きく影響します。関係者の皆様には、COP28で国際的に合意された『再エネ導入3倍化』を早期に実現できるようご尽力をお願いします」と述べ、講演を締めくくった。


注10住友ゴム工業、「タイヤ製造における水素エネルギーの活用」
注11GM Asks Suppliers to Sign Pledge Advancing Global Climate Action and Human Rights、2022年4月25日

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