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2023年度におけるZEB基準の達成率は前年度比0.2ポイント増の19.7%、国総研調査

大規模な事務所と学校が伸長
2025/05/21
(水)

2023年度におけるZEBの達成率は前年度比0.2ポイント増の19.7%

 国土交通省 国土技術政策総合研究所(以下、国総研)は、政府が普及を進めている、建物で消費する年間のエネルギーを収支でゼロにする建物「ZEB(Net Zero Energy Building)」の「ZEB基準の水準」というカテゴリの達成率について、2023年度は19.7%(件数ベース)だったと発表した。特に大規模の事務所と学校で達成率が大きく向上した。

図1 規模別、用途別にした「ZEB基準の水準」の達成状況

出所 国土交通省 国土技術政策総合研究所 @PRESS 2025年5月16日、「オフィスビル等の省エネ性能に関する最新調査結果を公表」

大規模な事務所(17.7%)と学校(25.8%)の達成率が伸長

 国総研の「非住宅建築物の外皮・設備設計仕様とエネルギー消費性能の実態調査」は、国土交通省住宅局と連携し、建築物省エネ法に基づく手続時の情報を収集/分析し、オフィスビルなどの省エネ性能に関する調査結果をまとめたもの。2023年度に新築・増改築された、床面積 300m2以上のオフィスビル等(計11,927 棟)を対象に実施した。

 同調査によると、ZEB基準の水準は、2023年度の達成率は件数ベースが19.7%で2022 年度(19.5%)から0.2ポイントのプラス、床面積ベースが39.0%で2022年度(36.8%)から2.2ポイントのプラスとなった。
 規模別、用途別に見ると、事務所は、小規模なものも含めた全体の2023年度における達成率は13.8%(2022年度 11.4%)だったが、2,000m2以上の大規模なものに限ると17.7%(2022年度 12.7%)と5ポイントアップだった。
 学校は、小規模なものも含めた全体の2023年度における達成率は14.7%(2022年度 12.2%)だったが、2,000m2以上の大規模なものに限ると25.8%(2022年度 12.7%)と13.1ポイントアップになった。

 ZEBは、エネルギーの削減状況に応じ、様々な種類が存在する。その中で、ZEB基準の水準は、再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量を、現行の省エネルギー基準値から用途に応じて30%又は40%(小規模建築物については20%)削減したものと定義されている。政府は、「第7次エネルギー基本計画」で、2030年度以降に新築される建築物はZEB基準の水準を目指すとしている。

図2 ZEBの種類

出所 国土交通省 国土技術政策総合研究所 国土技術政策総合研究所資料 2025年3月、「非住宅建築物の外皮・設備設計仕様とエネルギー消費性能の実態調査」


★参考サイト★

国土交通省 国土技術政策総合研究所 @PRESS 2025年5月16日、「オフィスビル等の省エネ性能に関する最新調査結果を公表」

国土交通省 プレスリリース 2025年4月14日、「オフィスビル等の省エネ性能に関する最新調査結果を公表」

国土交通省 国土技術政策総合研究所 国土技術政策総合研究所資料 2025年3月、「非住宅建築物の外皮・設備設計仕様とエネルギー消費性能の実態調査」

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