カーボンニュートラル/脱炭素
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積水ハウス、ZEH(エネルギー収支ゼロ住宅)で、累積8万棟を達成!

スコープ3カテゴリー11では、2030年目標に対して69%の進捗率
2024/04/30
(火)

ZEH-M、ZEH-M Oriented、ZEBの比率も高水準に推移

 積水ハウス株式会社(以下、積水ハウス)は、同社が販売している戸建ZEH(Net Zero Energy House、ゼッチ。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)が発売10年で累積8万棟を達成したことを2024年4月23日に発表した。
 「ZEH」は、太陽光発電や省エネルギー設備などによって消費エネルギーを実質的にゼロ以下にする住宅(すなわち、家庭で消費するエネルギーよりも創出するエネルギーが上回る住宅のこと)。そのマンション版の「ZEH-M(Mansion)」や、マンション全体の一次エネルギー消費量を20%以上削減した「ZEH-M Oriented」、さらにビル版の「ZEB(Net Zero Energy Building)」も規定されている。
 積水ハウスは、2013年にZEH基準を満たした「グリーンファースト ゼロ」を発売、その後の累積販売棟数が8万3,541棟に達した。これによって、2023年度の戸建ZEH比率は95%注1となり、さらに、賃貸住宅のZEH比率は76%注2、分譲マンションの100%がZEH-M Oriented以上、ZEBの比率は33%注3を記録した。
 これらの実績により、2023年度の同社グループ全体(海外事業を含む)が提供した新築住宅等(表1)が使用するCO2排出量の合計は、2013年度比38%減となった。このCO2排出量は、サプライチェーンの温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)排出削減における「スコープ3:販売した製品の使用」「カテゴリー11:使用者による製品の使用」に該当する注4

表1 積水ハウス 温室効果ガス削減 個別取り組みの進捗状況
出所 積水ハウス株式会社、ニュースリリース 2024年4月23日、「戸建ZEH『グリーンファースト ゼロ』発売から10年で累積8万棟を達成」

自社の環境目標を上方修正、SBT「1.5℃目標」に認定

 積水ハウスは2008年、環境省から「エコ・ファースト企業」注5の認定を受け、その取り組みの1つとして温暖化防止に着手し、2017年「RE100」注6に国内企業では2社目として加盟した。さらに2018年には「SBTイニシアチブ」注7から、国内の住宅関連企業としては初の認定を取得している。
 積水ハウスは、2022年には温室効果ガス削減目標を下記(1)~(3)に示すように上方修正している。その内容は、パリ協定が目指す「1.5℃目標」に整合する水準であると、同年6月にSBTイニシアチブから認定されている。すなわち、これは同社の新たな削減目標が、パリ協定の目指す「世界の平均気温上昇を産業革命以前(1850年~1900年)に比べて1.5℃に抑える努力を追求する」のシナリオに整合すると認められたことを意味する。
 前述の「新築住宅等が使用するCO2排出量の合計、2013年度比38%減」という現時点での結果は下記の目標(2)に該当し、「2030年度までに55%削減」目標に対する進捗率は69%(=38÷55)と、順調に推移している(図1)。

積水ハウスが2022年に上方修正した温室効果ガス削減目標注8

(1)2030年までにスコープ1(直接排出)とスコープ2(間接排出)を2013年度比75%削減する(従来は2013年度比50%削減)。

(2)2030年までに製品使用時のCO2排出量(スコープ3:販売した製品の使用、カテゴリー11:使用者による製品の使用)を2013年度比55%削減する。

(3)2027年までに当社サプライヤーの65.8%がSBTを取得する注9

図1 2050年カーボンニュートラル実現に向けた「スコープ3カテゴリー11」削減目標と進捗状況

出所 積水ハウス株式会社、ニュースリリース 2024年4月23日、「戸建ZEH『グリーンファースト ゼロ』発売から10年で累積8万棟を達成」


注1:2023年4月から2024年3月、北海道以外の地域におけるNearly ZEH(1年間の一次エネルギー消費量を75%以上削減できる住宅)以上、多雪地はZEH Oriented(1年間の一次エネルギー消費量を20%以上削減できる住宅)を含む比率。
注2:ZEH Ready(1年間の一次エネルギー消費量を50%以上削減できる住宅)以上の比率(住戸ベース)。
注3:2023年4月から2024年3月、ZEB Ready(1年間の一次エネルギー消費量を省エネ基準の50%以下まで削減)以上。
注4環境省、「サプライチェーン排出量算定の考え方」の12ページ参照。スコープ3活動の分類結果:カテゴリ1~15
注5:エコ・ファースト制度:企業が環境大臣に対し地球温暖化対策などの環境保全に関する取組みを約束し、それを大臣が認定する制度。
注6:RE100:100% Renewable Electricity。事業活動によって生じる環境負荷を低減させるために設立された国際的な環境イニシアチブ。事業運営に必要なエネルギーを100%、再生可能エネルギーで賄うことを目標とする。
注7:SBTイニシアチブ:企業がCO2排出量削減を行う際、科学的根拠(例:IPCC報告書等)に基づくことを求めるイニシアチブ。SBTはScience-based Targetsの略語。
注8積水ハウス株式会社 ニュースリリース 2023年6月9日 『温室効果ガス削減で「SBTイニシアチブ」1.5℃目標の認定を取得』より、編集部で一部加筆・修正
注9:購入した商品やサービスの排出量ベース。

参考サイト

積水ハウス株式会社 Webサイト

ニュースリリース 2024年4月23日、「戸建ZEH『グリーンファースト ゼロ』発売から10年で累積8万棟を達成」

ニュースリリース 2023年6月9日、「温室効果ガス削減で『SBTイニシアチブ』1.5℃目標の認定を取得」

ニュースリリース 2022年5月25日、「積水ハウス、事業活動におけるCO2排出量の削減目標を75%に上方修正 達成に向けて業務用車両の100%電動化や当社事業拠点のZEB化を推進」

企業・IR・ESG・採用 「積水ハウスの『エコ・ファーストの約束』」

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