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東急不動産、事業用電力のすべてを再エネ化し「RE100」を達成

自社の再エネを活用! 日本の事業会社として初めてCDPが認定
2024/05/24
(金)

RE100ガイドラインに基づき事務局が認定

 東急不動産ホールディングス株式会社は、4月25日、グループ中核会社である東急不動産株式会社(以下、東急不動産)が事業で使用するすべて(100%)の電力を再生可能エネルギー(以下、再エネ)に置き換え、それが国際イニシアチブ「RE100」(100% Renewable Electricity、後述)事務局(CDP)から認定されたことを発表した。
 オフィスビル、商業施設、ホテルやリゾート施設、シニア住宅など全国で204施設を保有・運営している東急不動産(写真1)では、太陽光や風力などの再エネ発電事業も展開。自社施設で使用する電力を、これらの再エネ発電事業による電力に2022年12月1日から順次切り替え、100%再エネ化を実現した。
 今回の発表のために、東急不動産では1年間の再エネ利用実績をまとめ、RE100事務局のガイドラインに沿った実績報告および開示申請を2024年2月に開始し、約2カ月の審査期間を経て、2024年4月に同事務局から承認された。
 なお、RE100が定める技術基準を満たすグリーンガスが国内で調達不可能のため、代替で東京ガスのカーボンニュートラルガスを使用している。それに該当する0.2%分の電力は今回の認定対象から除外されており、RE100事務局が発行した『RE100 Annual Disclosure Report2023(RE100 2023年開示報告書)』(図1)では、同社の再エネ率は99.8%と記載されている。

写真1 東急不動産が提供している商業施設の例

出所 東急不動産ホールディングス/東急不動産、「国内事業会社初 東急不動産が「RE100」達成」、2024 年4月25日

図1 『RE100 2023 Annual Disclosure Report』
(RE100 2023年開示報告書)の表紙(2024年3月6日発行)


出所 https://www.there100.org/our-work/publications/re100-2023-annual-disclosure-report

自社事業である1,751MW再エネ発電能力を活用

 東急不動産の100%再エネ化は、自社の再エネ発電所による非化石価値の活用が大きな特徴だ。同社は2014年からこの分野に参入し、太陽光発電所、風力発電所、バイオマス発電所など全国で104の事業を展開して総定格容量は1,751MWに及ぶ。その電力をオフサイト注1のFIT注2/非FIT、オンサイト注3の自家消費など、多彩な形態によって自社の204施設に供給している。
 各施設が1年間に使用する再エネ電力は約3億kWhで、その約98%を同社の再エネ発電所による電力で賄っている。残り2%は、他社の再エネ小売契約期間満了前の電力などである。これによって、CO2排出量を年間約13万トン削減しているが、これは一般家庭約6万9千世帯分のCO2排出量に相当する。
 同社の再エネ発電事業は、2018年から「ReENE(リエネ)」(図2)注4のブランドで展開している。

図2 東急不動産のReENE(リエネ)のロゴ(上)と再エネ発電所の例(下)

出所 東急不動産ホールディングス/東急不動産、「国内事業会社初 東急不動産が「RE100」達成」、2024 年4月25日

城南信用金庫、第一生命に続き国内3例目(事業会社としては初の認定)

 RE100は、世界で影響力のある企業が、自社事業で使用する電力の再エネ100%化にコミットする協働イニシアチブ。前述した『RE100 2023年開示報告書』によれば、全世界で400以上(429社、2024年5月現在)の企業が加盟しており、そのうち日本企業は85社、東急不動産は2019年から加盟している。
 それら加盟企業の中でRE100を達成(RE100事務局であるCDPから正式に認定)したのは、世界ではUBS(スイス)、オートデスク(米国)、コカ・コーラ・ユーロパシフィック・パートナーズ(英国)など33社。その中で日本企業は2019年に城南信用金庫、2023年に第一生命保険株式会社が達成しており、今回、実質100%として認定された東急不動産は国内3例目となるが、国内の「事業会社としては初の認定」となっている。


注1:オフサイト:需要場所から離れた場所(オフサイト)に発電設備を設置し、発電された電力を需要場所に供給するモデル。
注2:FIT:Feed-in Tarif、再エネの固定価格買取制度。
注3:オンサイト:需要場所の敷地内(オンサイト)に発電設備を設置して電力供給するモデル。
注4:ReENE:①Re-creating the Value(未来に、新しい価値を)、②Edit Next Energy(次の時代をつくるエネルギーを)、という東急不動産の2つの志を込めた再エネ事業のこと。
https://tokyu-reene.com/reene.html

参考サイト

東急不動産株式会社、ニュースリリース2024年4月25日、「国内事業会社初 東急不動産が『RE100』達成 オフィス・商業施設・ホテルなど対象の全204施設を再エネ電力に切替え RE100事務局であるCDPより正式な審査を経て認定」

第一生命保険株式会社、ニュースリリース2023年7月21日、「消費電力量の100%再生可能エネルギー化を達成」

公益財団法人 自然エネルギー財団 活動一覧、2019年9月26日、「城南信用金庫、日本の企業で初めてRE100を達成」

 

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