[特集]

活発化する電波/周波数の割り当て(1):認可間近か!実用期を迎えたUWB

2006/07/12
(水)
SmartGridニューズレター編集部

主なUWBに関する技術基準

[1] 使用周波数および空中線電力

日本のUWBに関する技術的条件は、他の無線システムとの周波数共用(同じ周波数を異なるシステムで利用しあうこと)が技術的に可能です。しかも、前述した利用イメージを実現するために、UWBの伝送能力を発揮すること、あるいは可能な限り国際的な協調(ハーモナイゼーション)を確保するという観点も考慮しながら検討が行われ、表1のとおりまとめられました。

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表1 使用周波数および空中線電力 (クリックで拡大)

※干渉軽減技術を具備していない場合、平均電力を-70dBm/MHzおよび尖頭電力を-64dBmとする。ただし、4200~4800MHzの周波数においては、2008年12月末日までの間、干渉軽減技術を具備しなくてもよい。

ここで、低い周波数帯のローバンド(3400~4800MHz)については、第4世代(4G)移動通信システムを含む将来の移動通信システムへの利用が期待されていることや、現段階においてUWBの効率的な運用が可能な周波数帯として、国内外のメーカーで開発(ローバンドに対応したUWBデバイスの開発)が進められていることを考慮する必要があります。

このため、他の無線システムとの間で有効な干渉軽減技術を備えていることを条件として、UWBが利用できるようにしています。ただし、4200~4800MHzについては、他の無線システムとの干渉に関して検討した結果を考慮し、電波の有効利用やUWBを早期に導入し、普及させる観点から、2008年末までの間、干渉軽減技術がなくともUWBが利用できるようにしています。

高い周波数帯であるハイバンド(7250MHz~10250MHz)については、現在は、対応するUWBデバイスを開発している段階です。そのため、今後、UWBデバイスの本格的な普及を促進する周波数帯として期待されています。

[2] 不要発射の強度の許容値

なお、ローバンドとハイバンドの間の周波数帯(4800~7250MHz)については、受動業務(宇宙観測や電波天文業務、地球探査衛星業務など、観測だけを行う業務)との周波数共用が困難なことから、表2に示すとおり、不要発射(目的の周波数以外の不要な電波が発射されること)領域としています。

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表2 不要発射の強度の許容値 (クリックで拡大)

dBm/MHz:微弱無線局の電波がピーク電力で-64dBm/MHzですので、それよりもかなり弱い電波と言える。なお、dBmとは、1mWを基準にdB表示した単位、/MHzは、1MHzの帯域幅内の電力という意味。

 

[3] 空中線利得

0 dBi以下:アンテナで電力の増幅を行わないという意味。多くの小型無線デバイスのアンテナは、増幅をしない0dBiといわれている。

[4] 変調方式

規定しない

[5] 運用制限

他の無線システムへの干渉を回避する観点から、屋内利用に限定する。なお、屋内限定を保証(担保)する方法としては、

(1) ホストの役割を果たすUWBを搭載した機器は、交流電源に接続されていること
(2) UWBを搭載した機器の見やすいところに、屋内限定利用である旨の注意書きを表示することとします。

[6] 将来の技術基準の見直し

UWBと他の無線システムとの共用条件の検討では、既存の無線システムの中にUWBの普及状況によっては、干渉が懸念される無線システムもあるとされています。したがって、UWBが導入された後においても、実運用環境下における他の無線システムへの影響評価については引き続き検討を行うことし、UWBの普及状況、影響評価の結果および国際動向を踏まえ、3年後を目途に技術基準の見直しを行うこと、としています。

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