802.15.3ネットワークの概要:PNCとDEV
802.15.3 WPANの構成要素は、デバイス(DEV:Device)と呼ばれる。上位層から指令を受けると、そのDEV(マスター)が周辺にある他の複数のDEV(スレーブ)を束ねてひとつのピコネット(Piconet)を形成する。ピコネットとは、1つのマスターに対して、複数のスレーブを接続して構成されるネットワークである。
この統制役のDEV(マスター)は、ピコネット・コーディネータ(PNC:Piconet Coordinator)と呼ばれる。PNCは、ピコネット内で単にDEVとしても機能する。 また、DEVにはPNCとして機能できるものと、機能できないものがある。
PNCは、ビーコン(Beacon、基準信号)を送出してネットワークのタイミングを調整する機能を備えている。DEVは、ネットワークに従属し、ビーコンを受信してPNCから指定されたタイミングでデータの送受信を行う。
PNCは、各DEVに割り当てるタイム・リソース(時間間隔など)を管理することによって、各DEVの通信路の形成を制御し、これにより任意のDEV間で1対1(ポイント・ツー・ポイント)の通信路が形成され、データ転送が行われる。PNCは、通信が終了するとピコネットを解消し、通信路を開放する。
ひとつのピコネットは、ひとつのPNCによって管理されるが、ピコネット内の1つのDEVがそのピコネット外のDEVを構成メンバーにしてPNCとなり、別のピコネットを形成(従属ピコネット構成)することもできる。
また、PNCは状況によって、他に自分よりも適切なPNC候補のDEVを見つけてPNC役を引き継ぐこともできる。図1に、基本的なIEEE 802.15.3ネットワークの構成例を示す。
図1 802.15.3ネットワークの構成例