NGNのキラー・アプリケーション「IPTV」へ熱い視線
ハイビジョンなど高画質の映像情報が普及しはじめ、放送・通信の融合が進展し、次世代ICT(情報通信技術)の中核技術としてNGN(次世代ネットワーク)が国際的な関心を集めている。今回のTELECOM 2006では、多くのベンダやキャリヤがNGNの製品やサービスのイメージを出展・デモを行っていた。
さらに、音声、データ、映像(放送)のマルチメディアを統合的に提供するトリプル・プレイ・サービスが期待される中、IPによって制御される高品質な映像配信、すなわちIPTVへの関心も急速に高まっている。
これまで、プロバイダによる個々の技術によってIPTVサービスが提供されているが、ITUでは今年(2006年)7月から、ITU-TにおいてIPTVの具体的な国際標準化に乗り出し、活発な審議が進められていることもあり、関心の高さがうかがえた。
シスコシステムズは「Cisco IP NGN」を!
このような状況下で、「Cisco IP NGN」アーキテクチャの実現を推進する米国シスコシステムズは、Cisco IP NGNにおいて、エンド・ツー・エンドで、デジタル・ビデオやIPTVなどのサービスを実現する、新しいコンテンツ配信システム(CDS:Content Delivery System)を開発している。
TELECOM 2006で講演したシスコシステムズ社長兼CEOのジョン・チェンバース(John Chambers)氏(写真右)は、「単なる音声サービスやデータ・サービスのような、トラディショナルなサービスは消滅し、新しいサービスが期待されている」と述べ、「今後、サービス・プロバイダがさらにビジネスを拡大する。キラー・アプリケーションがあるとすれば、それはビデオ(映像)サービスである」と、IPTVへの期待を語った。
マイクロソフトは「IPTV Edition」を!
また、マイクロソフト(写真左)は、すでに多くのテレコミュニケーション・サービス・プロバイダが、マイクロソフトの「IPTV Edition」を基盤にして、商用サービスを開始または計画していることを背景に、会場で「IPTV Edition Fact Sheet」をまとめて配布。TVサービス・プロバイダとなる通信事業者が、IPTV EditionによってTVサービスが迅速、かつ経済的に構築できるようになることをアピールした。IPTV Editionは、すでに、AT&T、ドイツテレコム、T-Online FranceやSwisscomなどで展開されているという。
写真3 Windows Mobile 5.0 Smartphoneを搭載した各国の携帯電話を展示
また、マイクロソフトは、通信産業の急速な環境の変化に対応できる「Telco 2.0 Era」を発表し注目を集めた。「Telco 2.0 Era」は、国際通信事業者向けの、音声/データ/映像に加えてモバイル・ソリューションも可能とする次世代のマルチプル・サービスに向けた、マイクロソフトの戦略コンセプトである。
以上、IPTVの動向に関して2つ例をレポートしたが、TELECOM2006の会場では、NGNのキラー・アプリケーションとして、多くのブースでIPTVの出展・デモが行われ、放送と通信の垣根が取り払われ、融合に向かっていることを実感させた。