サービスの統合化(トリプル・プレイ)の歴史的な発展
—音声、データ、映像という3つの基本サービスを統合して提供するトリプル・プレイ・サービスが注目されていますが、どのような開発の歴史をもち、今後どのような内容のサービスが展開されていくのでしょうか?
青山 サービスの統合化、すなわちトリプル・プレイ・サービスの歴史的な発展については、表1に、第1期から第4期までを整理して示しました。このトリプル・プレイ・サービスについては、何を隠そう、私が大学を卒業して、NTT(当時の電電公社)に入った36年前の1969年には、すでに当時の電電公社は、そのサービスを提供することを目標に研究開発を始めていました。
私が入社した当時の電電公社の状況はどうだったかというと、電話加入者数の伸びが最も大きい時期でした。したがって、本職である電話サービスの早期提供を目指して、積帯解消(申し込んですぐ付く電話)が重要な課題でした。いわゆるS字カーブの変曲点にあったわけです。
それから、当時はまだ自動電話交換機の設置が普及しておらず、電話のオペレータが人力で電話をつないでいた地域も多い状況でした。これでは、とても増大する電話に対応しきれないため、オペレータなしの、電話の自動交換機を開発することが重要課題でした。
—アナログ電話が普及する全盛期だったのですね
青山 それから、積帯が解消するに従いユーザーがどんどん増え、それに比例してトラフィック(通話量)が増えるので、当時はアナログでしたけれど、大容量の伝送方式の開発が重要課題でした。当時は光ファイバが無い時代でしたので、同軸ケーブルによる超多重FDM(周波数分割多重)伝送方式の研究に大きなリソースを割いていました。
このような本職である電話サービスの研究開発とともに、当時の電々公社は電話の次のサービスとして、大型コンピュータと端末装置をデータ伝送モデム(MODEM)で接続し、計算サービスを行うデータ通信サービスの開発に大きなリソースを割いていました。
そのために、日の丸コンピュータとして、DIPS(ディップス)という大型計算機の開発がメーカーと共同で進められました。事実、私と同期に入社した多くの社員がこのデータ通信の研究部門に配属されました。