[スペシャルインタビュー]

NGNの展望と課題を聞く(3):インターネットの課題とNGNのねらい

2007/01/12
(金)
SmartGridニューズレター編集部

NGN(次世代ネットワーク)のねらい

青山友紀氏

青山 以上のようなインターネットの整理を前提にして、NGNのねらいを説明しますと、表3のようになります。まず、インターネット(データ送信)に加えて、固定電話サービスもIP電話とし、さらにテレビ番組などの映像コンテンツをIPネットワークで配信するトリプル・プレイ・サービスの実現は言うまでもありませんが、これは前回申し上げたように、"4度目の正直"ですね(本インタビューの第2回を参照 )。

さらに、携帯電話サービスもIPネットワークで提供し、固定系と移動系のネットワークを統合するFMC(Fixed Mobile Convergence)によって、「クワドロプル・プレイ・サービス」(4種類の統合サービス)を提供することを目指しています。これによって、家庭内では固定IP電話、外出中は携帯IP電話がシームレスに利用できる(ロケーション・フリー)環境が構築できるわけです。ユーザーにとって大変魅力的なサービスとなります。これがNGNの1番目のねらいです。

表3 NGN(NXGN)のねらい
表3 NGN(NXGN)のねらい(クリックで拡大)

2番目は、前述のインターネットが抱えている諸問題を、このNGNで解決しましょうということです。3番目は、現在の固定電話サービスがもっている、安全性、安定性、信頼性が高い通信インフラとしての側面、あるいは災害とか緊急通信機能など、今のインターネットで十分でないところを、NGNで補完しつつ、継承・発展させていくことが求められています。(つづく)

■■■

次回は、"<テーマ4>NGN実現へのアプローチ:IPv6ベースへの拡充・発展か、IPベースの新ネットワークか"をお届けします。ご期待ください。

プロフィール

青山友紀氏

青山 友紀

慶應義塾大学
デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構 教授

略歴
1969年 東京大学大学院電気工学科 修士課程修了。同年、日本電信電話公社入社。以降、電気通信研究所において情報通信システム、広帯域ネットワークなどの研究に従事。1973年より1年間、米国MITに客員研究員として滞在。1994年 NTT理事 光エレクトロニクス研究所所長、1995年 NTT理事 光ネットワークシステム研究所所長を歴任。1997年より東京大学工学系研究科教授。2000年より2006年3月まで、東京大学大学院情報理工学系研究科教授。2006年4月、慶應義塾大学に転じ、現在、同デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構教授。工学博士。デジタル信号処理、光通信、超高精細映像、などに関する著書(共著、監修を含む)多数。

主な役職
日本学術会議会員、電子情報通信学会フェロー、現在 同学会副会長、IEEE Fellow、超高速フォトニックネットワーク開発推進協議会会長、デジタルシネマ実験推進協議会会長、NPOディジタルシネマコンソーシアム理事長、NPO映像産業振興機構理事、ユビキタスネットワークフォーラム副会長、JGN2(ジャパンギガビットネットワーク2)運営委員会委員長

主な受賞歴
第9回電気通信普及財団テレコムシステム技術賞(平成6年)
平成12年度情報通信月間志田林三郎賞
第47回前島賞(平成13年度)
電子情報通信学会論文賞(平成14年度および平成16年度)
電子情報通信学会業績賞(平成16年度)
情報通信技術委員会 情報通信技術賞総務大臣表彰(平成16年度)

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