[特集]

NGNの核となるIMS(5):IMSセッション制御とAS接続の仕組み

2007/01/15
(月)
SmartGridニューズレター編集部

IMSのサービス制御

【1】加入者サービスの起動

アプリケーション・サービスは、S-CSCFに接続されるAS(アプリケーション・サーバ)によって提供されます。SIPメッセージのASへのルーティングは、IMS登録時にHSSからS-CSCFが受信したフィルタ・クライテリア(基準)によって行います(図6 (1))。 S-CSCFはSIPメッセージを受信すると(図6 (2))、あるフィルタ・クライテリアを満たしたSIPメッセージだけが、ASに転送されて(図6 (3))セッションが制御されることになります。

図6 アプリケーション・サービスとフィルタ・クライテリアの役割
図6 アプリケーション・サービスとフィルタ・クライテリアの役割(クリックで拡大)

フィルタ・クライテリアの例としては、メッセージの種類、セッションの方向(発信か着信か)、登録の種別(初回登録、再登録、または登録抹消)、SIPのヘッダの有無と内容、SDPのパラメータ(メディアの種類)などを挙げることができます。

また、フィルタ・クライテリアには、SIPメッセージのルーティング先であるASのアドレスも含まれています。ASを利用することによって、例えば着信転送サービスのような回線交換と同様な加入者ベースの電話サービスを提供することも可能になります。

【2】PSI(Public Service Identity)

Public User Identity(電話番号に相当する識別子)が加入者を指定するのに対して、PSI(Public Service Identity)はサービスを指定するために使用されます。PSIをIMS端末が直接指定することにより、PSIに対応するASへ直接メッセージをルーティングし、サービスを享受することができます。

PSIを利用したASへのルーティングは、

(1) HSSにPSIとPSIに対応するASのアドレスを収容しておき、着信時にI-CSCFからHSSへ問い合わせして、直接I-CSCFからASはルーチングする方法

(2) HSSにPSIとPSIに対応するフィルタ・クライテリアを収容しておき、着信時にI-CSCFからHSSへ問い合わせして、S-CSCFを割り当てたあと、加入者サービスの起動と同様に、S-CSCFからフィルタ・クライテリアによりASへとルーチングする方法

の2通り存在しています。

PSIは、"sip:chatlist1@example.com"などのように、Public User Identityと同様なURIの形をしていて、例えばある特定のchatlist1のグループのメンバーとメッセージをやり取りしたいような場合に使うことができます。

用語解説

SIP:Session Initiation Protocol、セッション開始プロトコル
URI:Uniform Resource Identifier、ネットワーク上のリソースを特定する文字列の仕様
3方向ハンドシェーク方式:3つのメッセージをやり取りすることにより、セッションを確立する方式
2方向ハンドシェーク方式:2つのメッセージをやり取りすることにより、セッションを確立する方式
HSS:Home Subscriber Server、ホーム加入者サーバ
AAA:Authentication, Authorization and Accounting、認証、承認および課金

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