[スペシャルインタビュー]

ハノイテレコムに聞くベトナム通信事情【寄稿記事】

2007/01/29
(月)
松原 由高

ハノイテレコムに聞くベトナムの通信事情

ニューン氏

写真9 ハノイテレコム
ニューン・アン・ダン氏

ベトナムの通信事情について、ハノイテレコム社南部統括支社(ホーチミン市支社)総括責任者、兼 ハノイテレコム社IPテレコム・センター責任者、兼 HT モバイル社(ハノイテレコムの携帯事業会社の新社名)のホーチミン市支社総括責任者を勤めるニューン・アン・ダン氏(Nguyen Anh Dung)にお話を伺いました(写真9)

次に、ハノイテレコムのニューン氏のインタビュー内容を以下にまとめます。

(ニューン氏のお話)

【1】ベトナムの産業一般について

日本の皆さんにはあまり馴染みがないかもしれませんが、ベトナムは社会主義国家です。しかし1986年から、ドイモイと呼ばれる改革政策の下で、市場経済化を推し進め、国際的な自由経済環境構築の道を歩んできています。国営企業の民営化も積極的に推し進め、その民営化企業の受け皿となる株式市場も立ち上がりつつあります。

【2】固定通信事業者

ベトナムの固定通信事業者は最近まで、国営企業としてスタートした5社がありました(表2の上から5社)。これらの事業者は、固定電話サービスとVoIP(IP電話)を含むインターネット・サービスを提供しています。

2006年12月14日には、FPT株式会社の子会社、FPTテレコム株式会社が、民間企業としては初めて、郵政通信省から固定電話サービス事業の認可を受け、固定通信事業者は合計で6社となりました(表2)

表2 べトナムの固定通信事業者
表2 べトナムの固定通信事業者(クリックで拡大)

【3】携帯電話サービス事業者

携帯電話の事業者は、表3に示す6社があります。

表3 べトナムの携帯電話事業者
表3 べトナムの携帯電話事業者(クリックで拡大)

【4】固定/携帯/インターネットの普及状況

固定電話の加入者数は、約1,000万人以上に普及しています。対人口比で12%近くであり、この普及率はインド、インドネシア、フィリピン、タイを抜いています。

携帯電話の加入者数は、約1,700万人以上に普及していますが、うち93%(約1,580万加入)がGSMの2G(第2世代)携帯で、残り7%(約120万加入)がCDMA2000の3G(第3世代)携帯です。

インターネットの利用者数は、2006年には1,400万人を超えました。インターネット・アクセスの手段としては、ダイアルアップ・アクセスが約1,000万アカウント、ADSLアクセスが約37万アカウント、そしてCATV等その他アクセスが5万アカウントとなっています。光アクセスは、サービスが丁度スタートするところです。

【5】過熱するインターネット・カフェ

ベトナムでは、インターネット・ユーザーの大半を占める若年層の収入で、個人的にパソコンを購入するのは難しいことと、各家庭までのインターネット・アクセス回線のインフラ整備が遅れていることなどの理由で、インターネットカフェの利用者が多いのが現状です(写真10)

写真10

写真10 2006年春にハノイに
オープンした最大規模(パソコン250台)
のインターネットカフェ

インターネット・カフェは、ホーチミン市で約7,000店舗、ハノイで3,000店舗、その他地域の合計で10,000店舗、ベトナム全土で総計約20,000店舗あると見られています。

インターネットカフェの規模は、設置パソコンが10台程度から、大きいところで数百台までと、さまざまです。全インターネット・カフェに設置されているパソコン総数は40万台以上になると見られています。この数は、ベトナム全体のパソコン総普及台数130万台の1/3近い台数となります。

関連記事
新刊情報
5G NR(新無線方式)と5Gコアを徹底解説! 本書は2018年9月に出版された『5G教科書』の続編です。5G NR(新無線方式)や5GC(コア・ネットワーク)などの5G技術とネットワークの進化、5...
攻撃者視点によるハッキング体験! 本書は、IoT機器の開発者や品質保証の担当者が、攻撃者の視点に立ってセキュリティ検証を実践するための手法を、事例とともに詳細に解説したものです。実際のサンプル機器に...
本書は、ブロックチェーン技術の電力・エネルギー分野での応用に焦点を当て、その基本的な概念から、世界と日本の応用事例(実証も含む)、法規制や標準化、ビジネスモデルまで、他書では解説されていないアプリケー...