[スペシャルインタビュー]

ハノイテレコムに聞くベトナム通信事情【寄稿記事】

2007/01/29
(月)
松原 由高

ハノイテレコムの戦略
2007年は3G携帯の150万加入を目指す

ハノイテレコム(正式名称:Hanoi Telecom Joint Stock Company、2001年4月創業)は、地場の公有事業体(HTI:Hightechs Telecom Informatics Corporation、Hanel:Hanoi Electronics Corporation)が主要株主の固定通信会社です。

図1

図1 Hanoi Telecom Business
objectives to the late 2007

ハノイに本社を置き、ホーチミン市に南部統括支社があります。2005年に携帯電話事業者免許を取得して、香港のハチソン(Hutchison Telecommunications International Ltd)と、事業協力契約(BCC:Business Cooperation Contract)を結びました。

2007年からは、携帯電話事業を分離、新社名HT Mobileとして、携帯電話市場に本格的に参入します。すでに、ハノイとホーチミン市にカスタマーサービスセンターをオープンさせ、全国に約1,000ヶ所のCDMA2000用基地局を設置済みです。2007年に向けた、事業目標を図1に示します。

取材を終えて
あらゆる通信トレンドの縮図がここに

最近、ベトナムのIT産業に関わるきっかけができて、ベトナムのことを知れば知るほど、今までベトナムに対して抱いていた既成概念が大きく崩れました。環境は未だ混沌としているところは多々ありますが、ITはとても高いレベルで普及してきています。

写真14

写真14 ニューン氏(左)と筆者
(HT Mobile社ホーチミン市支社にて)

昨年末に香港で開催されたITU TELECOM 2006で示された通信トレンドのNGN、トリプル・プレイ、IPTV、WiMAXのすべての要素を、ベトナムの通信事情に垣間見ることができました。

人口の70%を占める30歳代までの若年層が、ものすごい好学心と活力で社会環境と産業を進化させています。そして、日本人に似た勤勉な人間性と、教育レベルの高さから、今後日本のよきパートナーとして共に成長していくと確信しています。

今回のインタビューの申し出を快諾いただき、取材に好意的に協力頂いた、ハノイテレコムのニューン(Nguyen)氏に心から感謝いたします。

■■■

プロフィール

松原 由高(まつばら・よしたか)

松原由高氏

▽1974年 日本電気 入社、宇宙通信開発に従事。
▽1984年 世界に先駆けインターネット技術基盤であるLANを普及させたアンガマン・バス社(米国)に入社。極東技術責任者及び日本法人設立に従事。
▽1987年 近年日本国内のみならず世界的なLAN関連メーカーとしての地位を確立したアライドテレシス を設立 代表取締役就任。世界8カ国に現地法人によるグループ会社を展開し2001年東証二部上場。1994年アライドテレシス 会長就任(〜96年) 
▽1994年 ランセプト設立 代表取締役就任(〜01年)ワークフローを基盤としたミドルウェア、アプリケーションソフトウェアの開発・販売を主とした企業。ランセプト(株)は2001年に任意解散。
▽2002年 渋谷Qフロントに代表される大型LED表示機のパイオニア企業で2005年JASDAQ上場したアビックス の取締役ジェネラルマネージャー就任し事業体質強化を実施(〜03年) 
▽2002年 グローバルベンチャーキャピタル アドバイザーに就任 2005年取締役パートナー就任(現任)
▽2003年 メディアセキュリティの先進企業で2003年東証マザーズ上場したイーディーコントライブ の常務取締役就任(〜2004年)し事業体質強化と新規事業開発を実施。
▽2004年 アライアント 取締役会長に就任。(現任)
産業構造審議会臨時委員、ネットワーク協議会会長、NetWorld + Interop Tokyo 展示会実行委員会委員長などインターネット関連の各種団体・公的委員会等の委員長等を歴任。
慶応義塾大学 工学部計測工学科卒業

【主な著書】
ネットワークOS教科書、ネットワーク・コンピューティング教科書(共にアスキー社)など多数。

参考文献

長谷川 敬洋「ベトナムICTサービス産業の現状と展望」、Mizuho Industry Focus Vol. 46、2006年、みずほコーポレート銀行

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