【6】キラー・アプリケーションはオンライン・ゲーム
携帯電話向けの電話以外のサービスでは、SMS(Short Message Service)が最も人気があり、メッセージ交換だけでなく、スポーツくじ、着メロ、占い、ニュースなどのコンテンツ配信の仕組みにも活用されています。
また、近未来の携帯電話向けキラー・アプリケーションとして、携帯オンライン・ゲームが注目されています。3G携帯が普及する前のGSM携帯でも楽しめるように帯域圧縮されたオンラインゲームが開発されてきています。
パソコン向けのインターネット・キラー・アプリケーションでも、VoIP以外ではオンライン・ゲームが最も人気があります。どこのインターネットカフェを覗いても、多くの若者がオンライン・ゲームに夢中になっている姿を目にします。
最近では、戦闘型のオンライン・ゲームのほかに、バーチャル・コミュニティでチームを作り、サッカーなどのスポーツゲームを楽しむ新しいオンライン・ゲームが注目を集めています(写真11)。
一方、ホーチミン市郵政通信局では、過熱気味のオンライン・ゲーム人気に伴い、増殖するオンライン・ゲーム店の取り締まりや、残酷な殺戮型のゲームの規制、さらには長時間オンライン・ゲームに没頭しないように勧告するなどの規制強化に向けた動きも出てきています。
【7】WiMAXの試験運用とデジタル放送(DVB-H)の動向
現在、ベトナムの通信環境での大きな課題は、基幹通信システムの構築と、ケーブル配線問題です。とくに、ホーチミン市やハノイなどの整備地区市街の電柱を見ていただくと一目瞭然ですが、ケーブル配線は大きな頭痛の種です(写真13)。
この問題のソリューションとして、ワイヤレス・ブロードバンドの普及に期待を寄せています。整備地区以外の多くの地域では、固定電話網が未整備であり、コストと時間のかかる固定電話の新設よりも期待されています。
このような中でベトテルは、高速無線通信技術のWiMAXによるインターネット・サービスの試験運用を2006年12月中旬からハノイ市で開始し、2007年半ばからのサービス提供に向けて本格的に動き出しました。将来的には、モバイルWiMAX(802.16e-2005)による移動体通信サービスも行う予定です。また、ベトナム・データ・コミュニケーション(VDC)も、山岳地帯のラオカイ省で、WiMAXの試験運用を2006年末に開始し、通信ライセンス取得をめざしています。
一方、デジタル放送関連の動向としては、携帯機器向け地上デジタル放送(編注:欧州方式のDVB-Hを採用している)と、IPTVサービスが始まっています。
VTCモバイル社は、2006年の11月中旬から、ハノイ、ハイフォン、ホーチミン市の3都市とその周辺地域で、DVB-H(日本でいうワンセグ)サービスを開始しました。サービス内容は、8チャンネルのデジタル・テレビ放送と4チャンネルのデジタル・ラジオ放送の、計12チャンネルの携帯機器向け放送サービスです。
デジタル・テレビ放送には、VTCモバイル社の番組のほか、英国BBCなどの海外チャンネルや公共チャンネル(VTV3)と、ビデオ・オン・デマンド(VOD)も含まれます。ただ、料金が高く普及にはまだ壁がありそうです(http://mobiletv.vtc.vn/ )。
また、FPTテレコム社は、IPTVサービスを開始しました。これは、ホーチミン市エリアにおけるFPT ADSLの契約者を対象として、専用のセット・トップ・ボックスをプラス契約したユーザー向けのサービスです。サービス内容は、一般テレビ放送、オン・デマンド・テレビ、ビデオ・オン・デマンドのほか、ラジオ放送、ニュース配信、音楽配信などです(http://www.itv.vn/ )。
【8】NGNへのチャレンジ
昨年末に新規参入したFPTテレコムは、次世代ネットワーク(NGN)技術を活用してサービスを行うことをアナウンスしています。ブロードバンド・トリプルプレイ・インターネット・サービスの提供、IPとモバイルの融合のためにも、NGNへの移行は必須と考えられていて、VNPTやハノイテレコムも移行に向けた準備を着々と進めています。