[標準化動向]

NGNの標準化動向(5):NGNにおけるリソース制御と受付制御機能

2007/02/14
(水)
SmartGridニューズレター編集部

前回まで、ITU-TにおけるNGNの標準化の体制、およびNGN標準化に係る関連文書について解説してきたが、今回は2007年秋に向けて勧告化の手続きが開始されているものを紹介する。キーとなる文書については、前回までに詳しく解説してきたので、今回は残りの文書もあわせてそれぞれ簡単に解説したい。

NGNリリース1 要求条件
[Y.2201(Y.NGN-R1-Reqts)]

NGNリリース 1 におけるハイレベルな要求条件について、網羅的に規定されている文書である。NGNを実装する際には、通信事業者はこの文書に規定されている要求条件のうち必要なものを選択して、実装すればよいことになる。

NGNの機能要求条件とアーキテクチャ
[Y.2012(Y.FRA)]

上記のNGNリリース1の要求条件[Y.2201(Y.NGN-R1-Reqts)]に準拠した、NGNの機能的なアーキテクチャについて規定された文書であり、NGNにおける様々なフローを規定する際に、検討のベースとなるものである。

NGNにおいては、提供されるべき機能がサービス・ストラタムとトランスポート・ストラタムの2つに分離されていることや、NGNリリース1において要求される機能条件などについても細かく規定されている。

NGNにおけるインタフェースについても規定されており、UNI (User to Network Interface、ユーザー・網インタフェース)、NNI (Network to Network Interface、網間インタフェース)、ANI (Application to Network Interface、アプリケーション・網インタフェース) のそれぞれのインタフェースが明示され、機能分離がなされている。

PSTN/ISDNエミュレーションアーキテクチャ
[Y.2031(Y.PIEA)]

この文書では、NGNにおいてPSTN/ISDNエミュレーション・サービスを提供する機能について、他の機能との連携動作について規定されている。またこの機能については、コールサーバ型(※1)とIMS型(※2)の2種類が規定されている。

用語解説

※1 コールサーバ型とは、いわゆるゲート・キーパ(※IPネットワーク内で既存の電話番号からゲートウェイのIPアドレスを見つけ出す機能をもつ装置)のような形態で、接続先の制御や管理・運用を行なうタイプのもの。
※2 IMS型とは、上記のNGNにおけるIMSにおいて、エミュレーションに必要なトラフィック制御を行うタイプのもの。

NGNにおけるリソース制御と受付制御機能
[Y.2111(Y.RACF)]

NGNにおけるリソース(機能を提供するために必要なもの、つまりそれぞれの設備やメモリ、ネットワークの帯域など)の利用制御と、ストラタム間やネットワーク間において統一的なインタフェースを提供すること(RACF:Resource and Admission Control Functions、リソース受付制御機能)について規定されている文書である。

ここで規定されているものは、サービス・ストラタムとトランスポート・ストラタムとを仲介し、リソースの利用の制御や統一的なインタフェースを提供し、また、他のネットワークから見た際にNAT(Network Address Translation、ネットワーク・アドレス変換機能)などにおけるポート制御などを行う機能である。

図1 NGNにおけるRACFの位置付け
図1 NGNにおけるRACFの位置付け(クリックで拡大)

なお、図1は、この機能を実現するに際してトランスポート技術や装置の位置に依存しない、抽象的なアーキテクチャとなっている。

NGNにおける受付制御での優先レベル
[Y.2171(Y.CAC-priority)]

NGNにおける非常時通信のための、優先度処理の要求条件に関する文書である。非常時にはネットワークにおける障害や輻輳(ふくそう)により、リソース(帯域)が不足することが多いため、サービスの重要性と、減少しつつあるネットワーク・リソースの可用性に応じて優先度レベルを設定し、CAC(Connection Admission Control、接続受付制御)機能によって処理されることとなる。

電話網/ISDNからNGNへの移行
[Y.2261(Y.PIEV)]

PSTN/ISDNからNGNへの移行においては、PSTN/ISDNをエミュレーション/シミュレーションするなど、適切な手段をとったうえで、移行がなされるべきであると規定されている。ただし、既存サービスのすべてがNGNによって提供されるとは限らない。

また、PSTN/ISDNでは、大部分の機能が一つの交換局にあることが多いが、NGNにおいて、機能はいくつかの要素に分配されると考えられている。これらの構造の差異を考慮して適切な移行がなされるべきである。

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