[特集]

対談:NGNリリース1と技術的チャレンジを語る(5):ユビキタス社会への発展とNGNの今後の課題

2007/03/26
(月)
SmartGridニューズレター編集部

NGNにおける「3プラス1」の課題

—村上さんはいかがですか

村上 NGNはまだスタートしたばかりなので、NGNの正体がわからない、NGNのポテンシャルの大きさもわからないところもあります。しかし、今スタートしたNGNとして、私たちが考えなくてはいけないことは、大きく言って3プラス1あるのかなと思っています。

村上龍郎氏

1つ目は、社会的問題とNGNとの関係です。NGNは、やはり通信のインフラなので、社会の状況をよく見ていかなくてはいけない、社会に合ったものを提供していかなくてはならないと思います。具体的には、先ほども話題になりましたが、少子・高齢化時代におけるセキュリティとか、人にやさしいあるいは環境にやさしいNGNは何かを、もう少し掘り下げて考えていかなければいけません。

また、例えば、2011年から放送が完全にデジタル化されます。テレビ放送がハイビジョンのような、かなり高品質できれいな映像をどんどん流すようになってきますが、これらにどのように対応していくかなども大きな課題です。そういう社会の動きをキャッチアップしたNGNにしていくことが、1つです。

2つ目は、IPでいろいろなものを伝えるというのは、まだまだ技術的な課題があります。しかも、信頼性もありリーズナブルな価格でサービスを提供するとなると、技術的にかなり難しいところがあります。処理能力が増大し肥大化するルータの消費電力の問題は、その最たるものの一つです。また、情報をIPで転送する場合など、非常に基本的なところでも難しい技術がありますのでそこを解き明かし、技術的課題をクリアしていく必要があります。

3つ目は、研究所ではユビキタスSOA(ソア。Service Oriented Architecture、サービス指向アーキテクチャ)と言っていますが、これは情報処理の世界で、いろいろなものがネットワークで連携して、いろいろなビジネスを展開していくということです。ユビキタス環境で、従来個々人でやっていた技術あるいはビジネスが、うまく連携できるような連携技術というものを実現していきたいというのが1つです。

—ぜひとも実現してほしいですね

村上 3つというのは以上のことですが、プラス1というのは、日本は技術立国ですからNGNの技術を世界に発信していくということです。日本は潜在的に優秀な学生、すぐれた技術者、研究者が多くいますし、技術的なポテンシャルもある。さらに、日本のユーザーはデジタル・テレビや3G携帯等も含めて新しいものを使おうという面で非常にアグレッシブです。このような環境で成長するNGNの技術を、日本の中だけのNGNの取り組みということで終わせてはいけないと思っています。

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