≪4≫商用利用可能なTD-SCDMA端末向けのチップセット
チャン・ダイジュン氏
(Zhang Daijun、T3G CTO)
続いて、T3Gテクノロジー社CTOであるチャン・ダイジュン氏(Zhang Daijun、張代君)が「T3G商品開発戦略と状態」というテーマで、TD-SCDMAに対応した端末の開発動向やチップセットについて説明した。具体的には、図8に示すTD-SCDMA製品の発展を示し、TD/GSMの自動ハンドオーバーからHSDPAデータ・カード、HSDPA電話、さらにHSUPA、LTE TDDへの展望を示した。これらの動きと同期して図9に示すTD-SADMA対応のチップセットのロードマップを示した。これらによって、キャリアから要求されるビデオや3Gのサービスを実装した機器を市場に提供していくと述べた。
≪5≫日本企業唯一のTD-ACDMA開発参加「アンリツ」
徳家 努氏
(アンリツ、計測事業部統括本部
ワイヤレス計測事業部
プロダクトマーケティング部
プロジェクトチーム課長)
最後に、端末や基地局の設備を評価する測定技術の面から、TD-SCDMAの計測器の開発に関わっているアンリツの徳家努氏が、「TD-SCDMAサービスを支援する測定器の動向」というテーマで説明した。ちなみにアンリツは、TD-ACDMA開発に関係している唯一の日本企業である。
「アンリツは、TDD方式ならではのシグナリングのタイミング調整機能を備え、サービス開始当初は必須とされるTD-SCDMAと2G(GSM)のデュアル・モードがの試験、3GPP 34.122(標準技術仕様番号)の基本試験項目などを一台で試験できるオールインワンの測定器の開発などで協力してきた。さらにTD-SCDMAは、実験の段階からいよいよ本格的なサービスの提供のフェーズに入り始めた。そのため、端末や基地局などの開発・製造が本格化し、そのような機器の開発を支援する測定器も整備されてきた」と語った。
≪6≫日本勢の盛り返しを期待したい
TD-SCDMAは、北京オリンピックをターゲットに、すでに基本的なトライアル(実証実験)は終わり、さらにトライアルの地域を広げる段階にある。サービスを提供する側の体制としては、通信インフラだけでなく、端末の開発などのメーカー側やアプリケーションも含めた開発体制も整備されている。また、中国政府の協力だけでなく、韓国を中心とした国際的な研究体制もできており、さらにTDD技術を用いた次の世代の移動通信システムの開発に向けた協力や研究も進んでいる。人口13億人という潜在的に巨大な中国市場の大きさとも相まって、TD-SCDMAの商用サービス開始目前の活気を感じとることができた。
その一方、アンリツの活躍はあるものの、ほとんどの日本企業は中国市場から撤退している。今後の盛り返しを期待したい。
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