≪1≫3GからEnhanced 3G、そして4GへのKDDIの取り組み
安田 豊氏
(KDDI コア技術統括本部長)
■第3世代(3G)の次の世代については、NTTドコモなどが採用予定のLTEとか、あるいはUMBなど、新しいシステムの実用化の動きが、将来のIMT-Advanced(4G)に向けて活発化していますが、KDDIとしての取り組みを整理していただけますか。
安田 図1は、日本における有線系と無線系のブロードバンドの流れをまとめたものです。
この図1で見ると、モバイルについては、KDDIとしては2007年の段階でEV-DO Rev.Aまではサービスを提供しており、2009年には、このたび2.5GHz帯の免許を取得できた新会社(ワイヤレスブロードバンド企画)がモバイルWiMAXのサービスをスタートさせる予定です。その次に導入するモバイル・ブロードバンドの規格としては、Enhanced 3G(※)があります。この方式としては、3GPP2規格のUMB(※)や3GPP規格のLTE(※)などの方式があります(表1)。KDDIとしてはどの方式をいつ頃採用するかという点については、まだ正式に発表できる段階ではありませんが、いずれEnhanced 3Gを導入しサービスを提供することは間違いありません。
その次が、4GとなるIMT-Advanced(※)です。IMT-Advancedについては、世界中で議論されており、当社も技術的にいろいろ貢献していきたいと考えています。
第3世代(3G)と第4世代(4G)の間にEnhanced 3Gが位置づけられ、4Gの前段階のサービスとなります。
※ 用語解説
1xEV-DO:1x Evolution Data Optimized、IMT-2000に準拠しているCDMA2000(MC-CDMA・北米方式)のデータ通信専用の規格。1xは、1.25MHz帯を意味している。
Enhanced 3G:3Gの拡張規格の総称。Enhanced IMT-2000とも言う。3GPPが策定を進めている。
UMB:Ultra Mobile Broadband、最大20MHzの帯域を使い、FDD方式を採用(上りと下りの帯域をそれぞれ20MHzずつ確保)した場合、理論値で下り最大288Mbps/上り最大75Mbpsという超高速通信を実現。3GPP2で標準化完了。
LTE:Long Term Evolution、現行の3G規格「HSDPA」を拡張した規格。3Gと同一の周波数帯を使用し、「下り300Mbps /上り80Mbps以上」の高速通信を実現する規格。スーパー3Gとも言われる。3GPPにおいて標準化が進められている。
IMT-Advanced:ITU(国際電気通信連合)を中心に標準化が進められている4G規格。Enhanced 3G などの後継となる規格。なお、2007年10月のWRC-07において、従来の「IMT-2000」(3G)と「IMT-Advanced」(4G)をまとめて、「IMT」(第3世代および第4世代移動通信システム)と総称することとなった。