[スペシャルインタビュー]

KDDIのNGN/FMBC戦略を聞く(4):モバイルの常時接続サービス実現へ

2008/03/03
(月)
SmartGridニューズレター編集部

KDDIは、2007年12月に2.5GHz帯のモバイルWiMAXの免許を同社が出資する新会社で取得、また電力会社との連携を強め光回線の確保に力を入れるなど、積極的な動きが注目されています。国内外でNGNの動きが本格化しはじめた2008年、KDDIは固定電話(F:Fixed)のネットワークとケータイ(M:Mobile)のネットワーク、そして放送(B:Broadcast)を一体化してサービス提供する独自のFMBC戦略を背景に、具体的なNGNサービスを進めようとしています。そこで、KDDI コア技術統括本部長 安田 豊(やすだゆたか)氏に、「モバイルWiMAXのサービス像」や、「ワンセグやMediaFLOなどの放送系サービス」、「IP overデジタル放送」などの新しい取り組みの現状を交え、KDDIはNGN/FMBCで何を実現しようとしているのか、その具体的な展望をうかがいました。

最終回の〈第4回〉は、
〈第1回〉:KDDIはNGN/FMBCで何をめざしているのか
=固定通信と移動通信、そして放送が結びついたサービスの実現へ=

第2回:モバイルWiMAXで実現するFMC
=端末を選ばないオープンなプラットフォーム=

〈第3回〉:FMBCが描く放送と通信の融合のサービス像
=KDDIはMediaFLOで放送事業者を目指すのか=

に続いて、モバイルでの料金定額制サービスや常時接続の可能性、そして、2008年から本格稼働するというFMBCの具体的なイメージについてお話いただきました(文中敬称略)。

≪1≫モバイルでの常時接続サービスは可能か

■ユーザーとしては、モバイルの料金が高いので定額制を期待しています。モバイルで定額制サービスを提供すると、PCの場合と同様にユーザーは常時接続で使用すると考えられます。しかし、モバイルで常時接続サービスを提供すると、周波数が枯渇してしまいキャリアとしては困ってしまいますよね。

安田 豊氏(KDDI 執行役員 コア技術統括本部長)
安田 豊氏
(KDDI 執行役員 コア技術統括本部長)

安田 ご指摘のように、モバイル通信でも常時接続しているような感覚でサービスを受けたいというニーズは当然あります。しかし、移動通信は利用できる周波数が有限なので、実際にみんながつながりっぱなしの状態では周波数がたりません。ただ、電波でやり取りされるデータはパケットですから、本当に信号が発信されたときだけデータが飛び、その瞬間だけ無線区間を使うというように、うまく工夫すれば、みんなで周波数をシェアすることができます。

問題は、つながっている状態(セッション)では端末のアドレスが保持されていますが、一度切れてつなぎなおすと、そのアドレスが変わってしまったり、つなぎなおすときに認証をもう一度行う必要があることです。また、このアドレスはIPv4のアドレスですとワイヤレス・ブロードバンドのような環境ではたりないのです。このため、NATを使ってローカルのアドレスを増やすか、十分に確保できるIPv6のアドレスを利用する必要があります。

厳密には常時接続ではないが感覚的には常につながっていて、データも軽快にストレスを感じずにやり取りできる状態、これは「オールウェイズ・オン」と言われますが、これをモバイルで実現させたいと思います。技術的にはいくつか壁がありますが、不可能ではありません。5年以内にはぜひ実現させたいと思っています。

ひょっとするとWiMAXなどでは、そういう使い方がもっと早く、2、3年後にはできるかもしれません。

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