≪1≫モバイルでの常時接続サービスは可能か
■ユーザーとしては、モバイルの料金が高いので定額制を期待しています。モバイルで定額制サービスを提供すると、PCの場合と同様にユーザーは常時接続で使用すると考えられます。しかし、モバイルで常時接続サービスを提供すると、周波数が枯渇してしまいキャリアとしては困ってしまいますよね。
安田 豊氏
(KDDI 執行役員 コア技術統括本部長)
安田 ご指摘のように、モバイル通信でも常時接続しているような感覚でサービスを受けたいというニーズは当然あります。しかし、移動通信は利用できる周波数が有限なので、実際にみんながつながりっぱなしの状態では周波数がたりません。ただ、電波でやり取りされるデータはパケットですから、本当に信号が発信されたときだけデータが飛び、その瞬間だけ無線区間を使うというように、うまく工夫すれば、みんなで周波数をシェアすることができます。
問題は、つながっている状態(セッション)では端末のアドレスが保持されていますが、一度切れてつなぎなおすと、そのアドレスが変わってしまったり、つなぎなおすときに認証をもう一度行う必要があることです。また、このアドレスはIPv4のアドレスですとワイヤレス・ブロードバンドのような環境ではたりないのです。このため、NATを使ってローカルのアドレスを増やすか、十分に確保できるIPv6のアドレスを利用する必要があります。
厳密には常時接続ではないが感覚的には常につながっていて、データも軽快にストレスを感じずにやり取りできる状態、これは「オールウェイズ・オン」と言われますが、これをモバイルで実現させたいと思います。技術的にはいくつか壁がありますが、不可能ではありません。5年以内にはぜひ実現させたいと思っています。
ひょっとするとWiMAXなどでは、そういう使い方がもっと早く、2、3年後にはできるかもしれません。