[特別レポート]

中国ケータイ最前線(3):中国の携帯電話のビジネス・モデル

2008/02/22
(金)
陶 一智

≪2≫携帯端末と通信サービスを別々に購入

中国でユーザー向けに携帯電話ビジネスを行っている業者は、通信事業者系ショップ、端末メーカー系ショップ、独立系ショップの3種類があります。

端末メーカー系ショップでは、そのメーカーの携帯端末しか販売していませんが、どの通信事業者の通信サービスでも自由に選択することができます。逆に、通信事業者系のショップでは、その通信事業者のサービスにしか加入できませんが、併設されている携帯端末販売コーナーで、どのメーカーの携帯端末でも自由に選べます。独立系ショップでは、通信サービスも携帯端末も自由に選べます。

携帯端末を買うには、街で"手机"(携帯電話の意味)という看板のある店へ出かけます。携帯端末は一般の家電と同じ扱いですから、デパートや家電量販店、スーパーでも買うことができますし、通信事業者の営業所の中にも、端末販売のコーナーがあります。

端末の種類は、ディスプレイが小さくて機能も少ない約500元(約8,000円、以下1元=16円)程度の端末から、売れ筋の1,000元(約1万6,000円)程度の端末、そして、7,000元(約11万2,000円)もする、日本で販売されているような、高画素数のカメラや音楽再生機能を備えた高機能端末まで、幅広くあります。

2006年の中国統計局(※)のデータでは、北京の市民の平均月収が1,660元(26,560円)くらいですから、携帯電話の価格がかなり高いことがわかります。日本と違い、無料の端末はありません。これは、前述したように、日本の携帯電話ビジネスは垂直統合型ビジネスで、通信事業者が携帯端末の販売店に端末の販売奨励金を支払っているため、販売店は元の端末の価格から、奨励金の額を割り引いて販売できるからです。

写真1は、街の携帯端末売り場の様子です。非常に多くの種類の携帯端末が販売されているのが、中国の特徴です。また、すでに述べたように水平分業型のビジネスですから、中古端末の市場もできあがっています。

※中国統計局
http://www.stats.gov.cn/was40/gjtjj_detail.jsp?searchword=%C8%CB%BE%F9%C...

写真1 携帯端末販売店のショーケース
写真1 携帯端末販売店のショーケース
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