≪3≫SIMカードごとに提供される通信サービス
[1]SIMカード=電話番号+通信サービス
携帯端末を買っても、日本と違い中国では、それだけでは携帯電話は使えません。端末とは別に、通信事業者のサービスを買う必要があります。「サービスを買う」というのは、具体的には、携帯端末の電話番号のデータが入った小さいICカード(SIMカード ※)を買うことです。
一般的に、SIMカードは携帯電話売り場のそばのコーナーで販売されています。
SIMカードのサイズは、縦15mm、横25mm、厚さ0.76mm程度で、通常、クレジットカードと同じぐらいのサイズのカードの中に埋め込まれています。切り抜き用のスリットが入っており、強く押すとSIMカード部分が外れます。これを携帯端末の裏側などにあるソケットに入れて初めて携帯電話が使えるようになります。これは日本で販売されているFOMAカードやau ICカードと同じ形状のものです。
カード(SIMセット)の例として、中国移動のプリペイド・サービス「神州行」を利用するためのカードを図4に示します。
※SIMカード(Subscriber Identity Module Card):加入者識別モジュール内臓カード
SIMセットには、SIMカードに加え、パスワードとなるPIN(Personal Identification Mumber)とセキュリティ・ロックの解除キーPUK(PIN Unlock Key)などを書いたユーザー・カード、説明書などがセットとなっています。
プリペイド・サービスを利用する場合、プリペイド・サービスの専用端末を使う日本と違って、中国では、プリペイド・サービスに対応したSIMカードを買えば、どの携帯端末でもプリペイド・サービスを使えます。
プリペイド・サービスとポストペイド・サービスの利用者を見ると、プリペイドのほうが圧倒的に多いのも中国の特徴です(表1)。中国移動の場合、2007年6月の時点で、プリペイドが2億6,000万加入、ポストペイドが6,700万加入程度となっています[1]。
また、中国聯通の場合2007年6月の時点では、プリペイドがGSMで5,400万加入、CDMAで320万加入、ポストペイドがGSMで5,800万加入、CDMAで3,600万加入程度になっています[2]。
中国移動 | 中国聯通 | ||
---|---|---|---|
GSM | CDMA | ||
プリペイド | 2億6,000万 | 5,400万 | 320万 |
ポストペイド | 6,700万 | 5,800万 | 3,600万 |
表1 中国移動と中国聯通のプリペイド、ポストペイドの契約者数(中国移動[1]と中国聯通[2]のデータをもとに、編集部で作成)
[1]http://www.chinamobileltd.com/ir.php?menu=11
[2]http://www.chinaunicom.com.hk/en/investor/monthly.html
[2]電話番号によってSIMセットの値段が変わる!?
SIMセットを購入する際には、次の3つの手順が必要です。
(1)通信事業者の選定
(2)その事業者の提供するサービス・プランの選定
(3)電話番号の選定
電話番号はSIMカードの中に登録されており、購入する場合には、選択可能な番号の中から好きなものを選びます。もし、最初の店で気にいった番号がなくても、SIMカードを売っている店はたくさんあり、コンビニでも買えるので、別の店に行って探すこともできます。
なお、販売店によっては、この電話番号によって、SIMカードの価格が異なる場合があります。つまり、中国人の好きな"8"が入った語呂の良い電話番号はのカードは高く、あまり好まれない"4"や"9"の番号の入った電話番号のカードは安くなっています。後述しますが、通信事業者系の直営店では、こういうことはほとんどありません。
サービス・プランは、ポストペイドやプリペイドの区別のほかにも、多くの種類があるので、月額基本料や通話料を比較して自分に合ったプランを選ばなければなりません。SIMセットを選んだら、店員に告げて手続きをしてもらい、パスワードとなるPINを聞いて控えておきます。SIMセットの値段は100元程度で、その中には50元から70元程度の通話料が含まれています。
なお、ポストペイドの契約の場合には身分証明書が必要です。外国人の場合には、身分証明書として、パスポートに加え、地元の保証人の身分証明書か会社の身分証明書が必要となります。
プリペイドの場合、通常、そのような証明書は必要ありませんが、サービスのオプションや販売店によってはパスポートが必要なこともあります。