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積水化学、「カーボンナノチューブ温度差発電シート」の実証実験を開始

2016/04/19
(火)
SmartGridニューズレター編集部

2016年4月19日、積水化学工業株式会社(以下:積水化学、東京都港区、代表取締役社長:髙下 貞二)の高機能プラスチックスカンパニー(プレジデント:加藤 敬太)は、奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 光情報分子科学研究室の河合 壯教授、野々口 斐之助教ら(以下:奈良先端大)が取り組む「カーボンナノチューブ熱電変換材料(以下:CNT熱電材料)」の開発に参画し、実証実験を開始することを発表した。

CNT熱電材料の開発の進展については奈良先端大より2016年3月30日に発表されているが、積水化学は、同CNT熱電材料を活用した「カーボンナノチューブ温度差発電シート(以下:CNT温度差発電シート)」を試作し、有機系従来品と比較して大幅な性能向上が見込めることを確認した。
積水化学は、開発品サンプルの提供など実用化に向けた実証実験を開始し、さらなる性能向上を進めるとともに、デバイス開発・生産プロセス・アプリケーションなどサプライチェーンの各段階におけるパートナーの探索を進め、2018年度の製品化を目指す。

  1. CNT温度差発電シートについて

    CNT温度差発電シートは、半導体性CNTの両端に温度差を与えると電力が発生する現象(ゼーベック効果)を利用した発電デバイスである。
     図1 CNT温度差発電シートの基本構造と発電の様子

    CNT温度差発電シートは、生活環境等の身近な温度領域での発電が可能で、温度差を利用したエネルギーハーベスティングへの利用が期待される。また、CNT温度差発電シートは、鉛、テルル等の毒性物質を全く含まないため、環境親和性の高い発電デバイスといえる。

    積水化学では、発電シートとしての実証実験可能なサイズのCNT不織布(写真1参照)作製に成功し、CNT不織布から個片化された素子をフィルム基板上に配列した温度差発電シートのサンプルを提供している。(写真2参照)。

    CNT温度差発電シートの特徴
      ・薄型、軽量、フレキシブル
      ・低温度領域で発電が可能(高温側:50℃~150℃)
      ・毒性物質不使用

    試作品における達成性能
      ・出力特性:(ΔT=50℃、CNT素子100対)
              Voc:250mV
              Isc:7.6mA
              Pmax:475μW

     

  2. CNT温度差発電シートの用途展開・製品化目標について

    開発中のCNT温度差発電シートは現在のところ、ワイヤレスセンサー向けのエネルギーハーベスティング用途を想定しており、特に、乾電池やPVでは対応困難な「高温多湿な環境下で定期的な交換・診断が難しく、かつ昼夜問わず常時監視の必要な設備のセンサー用電源」の用途を想定いる。
    具体的な用途としては以下を想定。

     ・ビルディングや大型商業施設の地下施設、空調配管、エレベーターシャフト
     ・工場、大型倉庫
     ・輸送機器(コンテナ、船舶等)
     

積水化学では、2018年度のCNT温度差発電シートの製品化に向けて、デバイス開発・生産プロセス・アプリケーションなどサプライチェーンの各段階におけるパートナーの探索を進めていく。


※ データは、参考値。構造は、変更されることがある。

■リンク
積水化学
奈良先端大

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