世界初、人工光合成で気体の二酸化炭素を直接反応させて炭化水素を生成

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2016年12月5日 0:00

昭和シェル石油は2016年12月5日、常温常圧下で気体となっている二酸化炭素(CO<sub>2</sub>)を太陽光による電力だけで炭化水素に人工光合成することに成功したと発表した。

昭和シェル石油は2016年12月5日、常温常圧下で気体となっている二酸化炭素(CO2)を太陽光による電力だけで炭化水素に人工光合成することに成功したと発表した。人工光合成の研究については、二酸化炭素を水に溶かして変換する方式の研究が進んでいるが、二酸化炭素は水に溶けにくく、ほんのわずかしか溶けないため、変換の効率はなかなか上がっていない。

今回の実験では、太陽光を受けて発電する「光陽極」と、CO2を変換するガス拡散電極を電線でつなぎ、ガス拡散電極に電力を供給しながら、気体のCO2を吹き付ける形で実施した。光陽極は昭和シェル石油の関連会社であるソーラーフロンティアが開発しているCIS薄膜太陽電池と、半導体光触媒を積層した構造になっている。ガス拡散電極には、独自開発の触媒を入れてあり、水と気体のCO2が同時に接触する位置に配置している。触媒の材質については非公開とした。

図 人工光合成の実験施設の概要

図 人工光合成の実験施設の概要

出所 昭和シェル石油

この実験環境で、太陽光による電力だけでCO2をメタンやエチレンなどの炭化水素に変換することに成功した。メタンは天然ガスの主成分となるガスであり、エチレンはポリエチレンなどの化学物質の原料となる。

メタンの生成量から計算すると、太陽光エネルギーをメタンに変換するエネルギー変換効率は0.61%に、エチレンに変換する効率は0.1%となった。炭化水素全体へのエネルギー変換効率は0.71%。自然の植物の光合成によって炭水化物を生成する効率は、一般に0.1~2.5%と言われている。今回の実験では自然の太陽光と遜色ない効率を達成したということになる。

昭和シェル石油は今後、ガス拡散電極を利用した人工光合成の研究を進め、2030年までにCO2から高い効率で炭化水素だけでなくアルコールなどの有用な物質を製造することを目指している。


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昭和シェル石油

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