マクニカネットワークスは2016年12月14日、LoRaWANネットワークを集中管理するシステム「ThingPark」の提供を始めた。ThingParkはフランスActility社が開発したもので、マクニカネットワークスは同社と販売代理店契約を結んだ。
ThingParkは、LoRaWANネットワークにつながるセンサー機器、ゲートウェイ、センサー機器が利用するアプリケーションサーバーなど、LoRaWANネットワークに参加する様々な要素を管理する機能を持つ。Actility社はThingParkを「Operations Support System (OSS)」と呼んでいる。その名の通り、LoRaWANネットワークの運用に必要な様々な機能を提供してくれる。
図 ThingParkはLoRaWANネットワークの運用に必要な様々な機能を提供する
出所 マクニカネットワークス
例えば、LoRaWANネットワークの構成を俯瞰で見た図を表示したり、利用者の料金プランに応じたサービス提供レベルを管理したり、サーバーアプリケーションによる末端の機器へのアクセスを制御する機能を持つ。さらに、LoRaWANの通信方法を管理する機能もある。LoRaWANでは、クラスA、B、Cという3種類の通信方法を定義している。クラスAはすべての機器が利用できるもので、クラスBはネットワーク側から端末を呼び出すときに使うもの。クラスCは連続でデータを送信するときや、マルチキャストでデータを送るときに使う。ThingParkは、機器がどのクラスで通信しているのかを把握する。利用するクラスに応じて通信料金を変えるような場合に役立つ。
また、LoRaWANで利用する3種類のゲートウェイを識別し、それぞれ管理する。LoRaWANでは屋外での仕様に適しており、何台でも機器を接続できる「マクロセル」と、屋内向けの小規模なゲートウェイ「ナノセル」、さらに小規模な「ピコセル」を使い分ける。接続したセルの種類に応じて課金するサービスを提供するような場合のために、どのユーザーがどのセルをどれだけ利用したかを管理する。
さらに、ジオロケーションサーバーと連携して、端末やゲートウェイの大体の位置を把握して画面に表示する機能や、ほかの事業者が運用しているLoRaWANネットワークとのローミングなどの機能も持つ。
マクニカネットワークスによると、以上で説明したような現在提供できる機能はThingParkの中でも「ThingPark Wireless」というアプリケーションが提供するものだ。Actilityはさらに機能を追加するために、「ThingPark OS」「ThingPark X」といったアプリケーションの開発を進めている。
ThingPark OSでは、LoRaWANネットワークのトラフィックをリアルタイムで画面に表示する機能や、流れるパケットの中身を調べる機能、ネットワークの性能が何らかの理由で落ちたときにアラームで知らせる機能などを提供する予定。
ThingPark Xでは、LoRaWANネットワークで末端の機器から集めたデータを蓄積し、統計処理により何らかの傾向を発見する機能を提供する予定だ。
マクニカネットワークスはLoRaWANネットワークを自社で運営することを考える大企業や、農場に設置したセンサーデータを集める無線ネットワークを必要としている農業組合、水道料金のデータなどを無線ネットワークで集める「スマートシティ」実現を目指す自治体などに売り込む構えだ。
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