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日立金属ネオマテリアル、リチウムイオン蓄電池のエネルギー密度向上を実現する金属箔を開発

2017/01/23
(月)
SmartGridニューズレター編集部

日立金属ネオマテリアルは、リチウムイオン蓄電池のエネルギー密度向上に役立つ材料を開発したことを発表した。

日立金属ネオマテリアルは2017年1月23日、リチウムイオン蓄電池のエネルギー密度向上に役立つ「高容量リチウムイオン電池用クラッド集電箔」を開発したことを発表した。公的研究機関や電池メーカーに先行供給した結果、良好な結果が得られているという。

現在普及している携帯情報機器やノートパソコン、電気自動車は電源としてリチウムイオン蓄電池を利用している。理由の1つとして、実用のものとなっている蓄電池のうち、リチウムイオン蓄電池が最も体積、重量当たりの蓄電量が大きい(エネルギー密度が高い)という点が挙げられる。

しかし、電気自動車のさらなる小型軽量化、航続距離延長を目指したい自動車メーカーからは、リチウムイオン蓄電池のエネルギー密度をさらに向上させてほしいという声が上がっている。この声に応えるための試みもある。リチウムイオン蓄電池では負極に炭素を利用するが。これをケイ素(Si)などを含む合金に置き換えるという方法だ。

現在のリチウムイオン蓄電池では、負極に、炭素を利用している。正確に言うと、電解銅箔や圧延銅箔の表裏に炭素を積層したものを使っている。このとき、電解銅箔や圧延銅箔を「負極集電箔」と呼び、表裏に積層している炭素を「負極活物質」と呼ぶ。

図 リチウムイオン蓄電池の構造、負極は集電箔の表裏に活物質を積層した構造になっている

図 リチウムイオン蓄電池の構造、負極は集電箔の表裏に活物質を積層した構造になっている

出所 日立金属ネオマテリアル

先述の、負極にケイ素などを含む合金を利用するという方法は、負極活物質に合金を使うというものだ。しかし、単純に合金に置き換えるだけでは問題が発生する。合金は充放電時に体積が大きく変化する。充放電を繰り返し、体積変化を繰り返すと集電箔に大きな力が加わる。その結果、集電箔にシワが入り、集電箔と活物質の間にヒビが入る。その結果、リチウムイオン蓄電池の寿命が短くなってしまうのだ。

日立金属ネオマテリアルが今回開発した高容量リチウムイオン電池用クラッド集電箔は、電解銅箔や圧電銅箔を置換するものだ。この材料を集電箔に使い、その表裏に合金材料を積層させることで、エネルギー密度を向上させながら、リチウムイオン電池の劣化を防ぐ。

図 日立金属ネオマテリアルが開発した「高容量リチウムイオン電池用クラッド集電箔」

図 日立金属ネオマテリアルが開発した「高容量リチウムイオン電池用クラッド集電箔」

出所 日立金属ネオマテリアル

高容量リチウムイオン電池用クラッド集電箔は芯材にNi(ニッケル)に5%程度のNb(ニオブ)を添加した合金を採用している。その表裏に銅を張り、圧延して接合したもの(クラッド材)。芯となるNiのNb合金が高い引張強度を発揮するので、負極活物質が体積変化を繰り返しても変形しにくい。その結果、集電箔から負極活物質が剥がれるという事態を避けられる。つまり、エネルギー密度を向上させながら、リチウムイオン蓄電池の寿命を縮めないということだ。

図 高容量リチウムイオン電池用クラッド集電箔の断面写真

図 高容量リチウムイオン電池用クラッド集電箔の断面写真

出所 日立金属ネオマテリアル

先述の通り日立金属ネオマテリアルは、今回開発した高容量リチウムイオン電池用クラッド集電箔を一部の公的研究機関や電池メーカーに出荷しているが、量産開始は2019年の予定となっている。


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日立金属ネオマテリアル

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