[クローズアップ]

脱炭素プラットフォームを実現しアグリゲーターを支援するACCESSのPOWERGs

― 需要家向けエネルギーマネジメントソリューションを提供 ―
2022/03/08
(火)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

脱炭素時代に、再生可能エネルギー(以下、再エネ)などの各種分散電源を集約して提供するアグリゲーションビジネスの動きが活発化している。脱炭素社会の実現に向けて、「需要家向けエネルギーマネジメント(エネマネ)事業」分野でNTTドコモと協業(注1)するACCESS(アクセス、表1)は、アグリゲーターを支援するPOWERGs(パワージーズ)ゲートウェイを開発し、4月1日からFIP制度やアグリゲーターライセンス制度かスタートする前に、ENEX2022(東京ビッグサイト、1月26〜28日)で公開した。
ここでは、POWERGsソリューション登場の背景や仕組み、ソリューション例、今後の展開について、ACCESS 営業本部 営業部 部長 林 純一郎(はやし じゅんいちろう)氏と、POWERGsソリューションのアドバイザーを担当する奥瀬 俊哉(おくせ としや)氏にお聞きした。

「POWERGsゲートウェイ」登場の背景

〔1〕2022年4月1日から開始されるアグリゲーターライセンス制度

 ACCESSは、NTTドコモと脱炭素社会の実現に向けて、「需要家向けエネルギーマネジメント(エネマネ)事業」分野で協業を進めているが、2022年1月26〜28日に開催された「ENEX2022(エネックス 2022)& DER/Microgrid Japan2022」(会場:東京ビッグサイト)において、「POWERGsゲートウェイ」を公開した。POWERGsとは、「POWER(電力)」+「SDGs(持続可能な開発目標)」の造語である。

表1 ACCESSのプロフィール(敬称略)

表1 ACCESSのプロフィール(敬称略)

出所 本サイトをもとに編集部で作成

 2022年4月1日から施行される「エネルギー供給強靱化法」注2のもと、「アグリゲーターライセンス制度」(特定卸供給制度。経済産業大臣への届出制)がスタートすることもあり、注目を集めた。

〔2〕POWERGsは2022年6月から提供開始

 ACCESSが企画・開発する需要家向けエネルギーマネジメントソリューション「POWERGs」に、ドコモIoTマネージドサービス注3を活用し、日本全国のエネルギーマネジメントサービスを販売する事業者(エネマネ事業者:アグリゲーター)を対象に、ACCESSのサービスとして2022年6月から提供開始する予定だ。

〔3〕アグリゲーターとERABビジネスへの期待

 ここで、重要なプレーヤーとなるアグリゲーター(特定卸供給事業、図1)を簡単に紹介しておこう。

 アグリゲーターとは、需要家側に散在するエネルギー資源(太陽光発電や蓄電池など)を統合(集約)・制御して、VPP(仮想発電所)やDR(デマンドレスポンス)などによってエネルギーサービスを提供する事業者のことだ。2022年4月から、FIP(Feed-in Premium)制度(本誌「新動向」記事12ページを参照)とともに、先述したアグリゲーターライセンス制度がスタートするとあって、関心が高まっている。

 このアグリゲーターには、

  1. リソースアグリゲーター(RA):需要家とVPPサービス契約を直接締結して、リソース制御を行う事業者
  2. アグリゲーションコーディネーター(AC):リソースアグリゲーターが制御した電力量(kWh)を束ね(集約)、一般送配電事業者や小売電気事業者と直接電力取引を行う事業者

の2つの事業形態があるが、両者の役割を兼ねる事業者も存在している。

 このため、今後、アグリゲーターの活躍によって、新しいエネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス(ERAB:イーラブ。Energy Resource Aggregation Businesses)の普及が期待されている。

 ERABとは、VPPやDRを用いて、一般送配電事業者をはじめ小売電気事業者、需要家、再エネ発電事業者などの取引先に対して、調整力やインバランス回避、電力料金削減、出力抑制回避等の各種サービスを提供する事業のことである。

 これらに加えて、今後、同じく2022年4月1日からスタートするFIP制度に伴って、①FIP制度の対象となる新しい再エネ電源や、②家庭などの小規模需要家の太陽光発電やBEV(電気自動車)、蓄電池、エネファームなどの多様な分散型電源を活用して、電気の供給力(調整力)などを提供するビジネスの普及と拡大も期待されている。


▼ 注1
「ACCESSとNTTドコモ、需要家向けエネルギーマネジメント事業において協業-脱炭素化社会の実現に向けて、サービス事業者向けに、LTE回線・ゲートウェイ・クラウドサービスをワンストップで提供-」、2021年6月25日

▼ 注2
エネルギー供給強靱化法:正式名称「強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」

▼ 注3
ドコモIoTマネージドサービス:IoTの導入から運用まで、ニーズに合わせたカスタムメイドでIoTに関する課題解決をサポートするサービス。コンサルティングからソリューション選定、システム構築、システム運用の支援なども行う。

ページ

関連記事
新刊情報
5G NR(新無線方式)と5Gコアを徹底解説! 本書は2018年9月に出版された『5G教科書』の続編です。5G NR(新無線方式)や5GC(コア・ネットワーク)などの5G技術とネットワークの進化、5...
攻撃者視点によるハッキング体験! 本書は、IoT機器の開発者や品質保証の担当者が、攻撃者の視点に立ってセキュリティ検証を実践するための手法を、事例とともに詳細に解説したものです。実際のサンプル機器に...
本書は、ブロックチェーン技術の電力・エネルギー分野での応用に焦点を当て、その基本的な概念から、世界と日本の応用事例(実証も含む)、法規制や標準化、ビジネスモデルまで、他書では解説されていないアプリケー...