「POWERGsゲートウェイ」登場の背景
〔1〕2022年4月1日から開始されるアグリゲーターライセンス制度
ACCESSは、NTTドコモと脱炭素社会の実現に向けて、「需要家向けエネルギーマネジメント(エネマネ)事業」分野で協業を進めているが、2022年1月26〜28日に開催された「ENEX2022(エネックス 2022)& DER/Microgrid Japan2022」(会場:東京ビッグサイト)において、「POWERGsゲートウェイ」を公開した。POWERGsとは、「POWER(電力)」+「SDGs(持続可能な開発目標)」の造語である。
表1 ACCESSのプロフィール(敬称略)
出所 本サイトをもとに編集部で作成
2022年4月1日から施行される「エネルギー供給強靱化法」注2のもと、「アグリゲーターライセンス制度」(特定卸供給制度。経済産業大臣への届出制)がスタートすることもあり、注目を集めた。
〔2〕POWERGsは2022年6月から提供開始
ACCESSが企画・開発する需要家向けエネルギーマネジメントソリューション「POWERGs」に、ドコモIoTマネージドサービス注3を活用し、日本全国のエネルギーマネジメントサービスを販売する事業者(エネマネ事業者:アグリゲーター)を対象に、ACCESSのサービスとして2022年6月から提供開始する予定だ。
〔3〕アグリゲーターとERABビジネスへの期待
ここで、重要なプレーヤーとなるアグリゲーター(特定卸供給事業、図1)を簡単に紹介しておこう。
図1 アグリゲーターの位置づけ
アグリゲーターとは、需要家側に散在するエネルギー資源(太陽光発電や蓄電池など)を統合(集約)・制御して、VPP(仮想発電所)やDR(デマンドレスポンス)などによってエネルギーサービスを提供する事業者のことだ。2022年4月から、FIP(Feed-in Premium)制度(本誌「新動向」記事12ページを参照)とともに、先述したアグリゲーターライセンス制度がスタートするとあって、関心が高まっている。
このアグリゲーターには、
- リソースアグリゲーター(RA):需要家とVPPサービス契約を直接締結して、リソース制御を行う事業者
- アグリゲーションコーディネーター(AC):リソースアグリゲーターが制御した電力量(kWh)を束ね(集約)、一般送配電事業者や小売電気事業者と直接電力取引を行う事業者
の2つの事業形態があるが、両者の役割を兼ねる事業者も存在している。
このため、今後、アグリゲーターの活躍によって、新しいエネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス(ERAB:イーラブ。Energy Resource Aggregation Businesses)の普及が期待されている。
ERABとは、VPPやDRを用いて、一般送配電事業者をはじめ小売電気事業者、需要家、再エネ発電事業者などの取引先に対して、調整力やインバランス回避、電力料金削減、出力抑制回避等の各種サービスを提供する事業のことである。
これらに加えて、今後、同じく2022年4月1日からスタートするFIP制度に伴って、①FIP制度の対象となる新しい再エネ電源や、②家庭などの小規模需要家の太陽光発電やBEV(電気自動車)、蓄電池、エネファームなどの多様な分散型電源を活用して、電気の供給力(調整力)などを提供するビジネスの普及と拡大も期待されている。
▼ 注2
エネルギー供給強靱化法:正式名称「強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」
▼ 注3
ドコモIoTマネージドサービス:IoTの導入から運用まで、ニーズに合わせたカスタムメイドでIoTに関する課題解決をサポートするサービス。コンサルティングからソリューション選定、システム構築、システム運用の支援なども行う。