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宇部興産がセメント工場に排熱を利用した発電設備を設置へ、出力は14MW

2017/04/21
(金)
SmartGridニューズレター編集部

宇部興産は、同社の伊佐セメント工場に、排熱を利用した発電設備を設置すると発表した。

宇部興産は2017年4月20日、同社の伊佐セメント工場(山口県美祢市)に、排熱を利用した発電設備を設置すると発表した。2020年1月に稼働開始の予定。宇部興産は苅田セメント工場(福岡県京都郡)に排熱を利用した発電設備を設置し、2016年1月から稼働を開始している。苅田セメント工場で稼働を開始した発電設備の出力は12.65MW(1万2650kW)。伊佐セメント工場に設置する発電設備の出力は14MW(1万4000kW)となる予定。

図 伊佐セメント工場の全景(左)と、苅田セメント工場で稼働している発電設備

図 伊佐セメント工場の全景(左)と、苅田セメント工場で稼働している発電設備

出所 宇部興産

発電設備は、セメント製造工程で発生する排熱を利用する。セメント工場では、セメントを作る前に、セメントの主要原料である「クリンカー」を製造する。これは石灰石などを回転する窯(ロータリーキルン)に投入して回転させながら1450℃の高温で焼成することで製造する。発電設備では、窯に投入する前の原料を予熱するためのヒーターと、出来上がったクリンカーを急に冷やすためのクリンカークーラーの排熱を利用する。この2カ所の熱源を利用して水蒸気を作り、タービンを回して発電する。発電した電力は売電せずに、工場で消費する。

伊佐セメント工場は自家発電設備を保有しており、工場で消費する電力はこの発電設備で賄っている。宇部興産は伊佐セメント工場に排熱を利用した発電設備を投入することで、発電設備に投入する化石燃料の量を抑え、電力コストを削減し、CO2排出量の削減も狙う。伊佐セメント工場で排熱を利用した発電設備が稼働したら、年間でおよそ5万トンのCO2排出を抑えられる見込みだという。

また、この発電設備による電力を工場で消費するだけでなく宇部興産のほかの工場に自己託送を利用して送電する計画も立てている。工場単位に限らず、グループ単位での電力コスト削減を目指した試みと言えるだろう。


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宇部興産

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