Googleは2017年5月16日(米国時間)、IoT端末を管理するパブリッククラウドサービス「Google Cloud IoT Core」を発表した。現在は一部ユーザーを対象としたプライベートベータ版として提供している。
Google Cloud IoT Coreが提供する機能は主に2つ。1つ目はIoT端末の管理。端末とGoogle Cloud Platformのデータセンターを、セキュリティを確保した通信路でつなぎ、無数に設置したIoT端末それぞれにアクセス権を設定することができる。これで、IoT端末がもたらすデータを他者に盗まれる可能性は限りなく低くなる。大量のIoT端末を設置しても、Google Cloud Platformの管理コンソールで一括管理が可能だ。さらにREST APIを用意しているので、プログラムを作成して管理作業を自動化することもできる。
図 Google Cloud IoT Coreは、端末とGoogle Cloud Platformのデータセンターを安全につなぐ役目を果たす。端末から得たデータの分析には、Googleの各サービスを利用できる
出所 Google
現時点でGoogleは、IoT端末の通信プロトコルとして業界標準となっているMQTT(MQ Telemetry Transport)に対応するとしており、通信をTLS(Transport Layer Security)1.2で暗号化するとしている。さらに、端末へのアクセス時には認証を要求するとしている。ただし、この環境を実現する条件として端末がGoogle Cloud IoT Coreのセキュリティ要件に準拠していることを挙げている。あるいは、端末で動いているOSがGoogleのIoT端末向けOS「Android Things」であれば良いとしている。
GoogleはGoogle Cloud IoT Coreのセキュリティ要件についてまだ明らかにしていないが、「Cloud IoT Partners」としてARMやIntel、オランダNXP Semiconductors社など15社を挙げている。この10社から、Google Cloud IoT Coreと簡単につながるハードウェアやソフトウェアが登場すると考えられる。
Google IoT Coreが提供するもう1つの機能は、IoT端末とGoogle Cloud Platformのデータ分析サービスの橋渡しだ。Googleは「今やセンサーなどの機器が検出するデータは、ビジネス上の判断を下す上で重要なものになった。しかし、そのデータをバラバラに保管し、すぐに捨ててしまう企業が多い。分析をしようともしない企業もある」と現状を表現している。
そこで、前出の端末を管理する機能を利用して、すべての端末をGoogle IoT Coreにつなげてしまえば、データはすべてGoogle Cloud Platformに集まるようになる。こうなれば、Googleがこれまで築き上げてきた「Google Cloud Dataflow」「Google BigQuery」「Google Cloud Machine Learning Engine」などの大規模データを分析するサービスを利用できる。すべてのIoT端末をGoogle IoT Coreにつないでしまい、分析方法などの設定、開発を済ませてしまえば、端末が送信してくるデータを基にしたリアルタイム分析環境ができるということだ。
GoogleはGoogle IoT Coreの利用価格について現時点では明らかにしていない。一部ユーザーに公開しているプライベートベータ版では料金を徴収していないが、本番のサービス提供が始まったら有料になるようだ。Googleは近日中にパブリックベータ版の公開を予告しており、そのときにGoogle IoT Coreの利用価格も公表するとしている。
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