Qualcommは2017年6月29日、ウェアラブル端末向けSoC(System-on-a-Chip)の新製品「Snapdragon Wear 1200」を発売した。Cat-M1とNB-IoTの通信機能のほか、GPSなどの衛星の電波を受信する機能や、無線LAN、Bluetooth 4.2の通信機能などを統合した製品だ。
図 Snapdragon Wear 1200のイメージ
出所 Qualcomm
Qualcommはこれまでウェアラブル端末向けSoCとして、LTE通信機能を統合した「Snapdragon Wear 2100」と、Cat-1通信機能を統合した「Snapdragon Wear 1100」を発売している。今回発売したSnapdragon Wear 1200は、さらに少ない消費電力で通信できるCat-M1とNB-IoTに対応し、電池だけで長時間稼働させる小型の端末に向けて開発したものだ。間欠的に通信する技術「eDRX(extended Discontinuous Reception)」を利用した場合、蓄電容量が350mAhの電池でもCat-M1とNB-IoTの通信を10日間待ち受けることができるという。Qualcommは想定用途として、子供や老人、動物の位置を知らせる機器や、通信機能を備える歩数計などを挙げている。
IEEE 802.11acに対応する無線LAN通信機能や、Bluetooth 4.2、Bluetooth Low Energyに対応する通信機能も統合しているが、少ない電力で長時間動作させるという想定用途を考えると、この機能を使わない場合も多くなるだろう。
測位衛星はアメリカのGPS(Global Positioning System)、ロシアのGLONASS(Global Navigation Satellite System)、EUのGalileo、中国の北斗(BeiDou)と、世界各国の衛星に対応している。
アプリケーションプロセッサはARMのCortex-A7(1.3GHz)を1つ統合している。OSはLinuxに加えて、アメリカExpress Logic社のリアルタイムOS「ThreadX」を使用できる。チップ面積は79mm2に抑え、小型の機器にも容易に搭載できるようにした。チップは台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)の28nm LP(Low Power)技術で製造する。
セキュリティ対策機能もしっかり搭載している。「Qualcomm Secure Execution Environment」やARMの「TrustZone」といったセキュリティ保護機構に加えて、暗号化通信に備えてデータ暗号化機能や乱数生成機能をハードウェア実装している。
Qualcommは中国Borqs International Holding社や、台湾Quanta Computer社といったODM(Original Design Manufacturers)業者と協力して、今回発売したSnapdragon Wear 1200を搭載した機器のリファレンスデザインをすでに開発しているという。このリファレンスデザインを利用すれば、企画した製品を短期間で市場に投入できるとしている。
■リンク
Qualcomm