ファミリーネット・ジャパンは2017年6月21日、スマートロックを活用した賃貸住宅の内見予約サービスを開発し、7月1日から販売を開始すると発表した。賃貸住宅の空き室の玄関の扉に、無線通信で制御可能な「スマートロック」を取り付け、内見希望者の多様な要望に応えることを可能にするサービスだ。
賃貸住宅の内見では、不動産管理会社の担当者が付き添って、物件のセールスポイントをアピールするのが普通だが、最近は多忙な内見希望者が増え、「今すぐに見たい」「仕事帰りに物件を見たい」など、対応が難しい要望を寄せる希望者が増えている。また、不動産仲介業者が内見の希望を受けたときは、管理業者に寄って鍵を借りる必要がある。内見希望の物件と管理会社が離れた場所にあると、鍵を借りるだけでもかなりの時間を使ってしまう。
ファミリーネット・ジャパンが開発した今回のサービスでは、スマートロックを利用することで、以上の問題の解決を狙っている。内見希望者にはPCのWebブラウザやスマートフォンからアクセスできる内見予約画面を提供する。ここで空いている時間を探し、その中から希望の時間を指定して予約の手続きを取ると、内見希望者のスマートフォンに有効期限付きの電子キーが届く。この電子キーは、予約した時間帯のみ使用可能となっている。電子キーを受け取ったら、物件に直接足を運び、玄関でスマートフォンを操作することで扉の鍵を開けられる。あとは予約した時間の間、物件を自由に見て回ることが可能だ。
図 予約時に受け取った電子キーがあれば、スマートフォンの操作で内見希望物件の玄関の鍵を開けられる
出所 ファミリーネット・ジャパン
不動産管理会社は、内見希望者がスマートフォンなどで予約をすると、その一覧を確認できる管理画面を利用できる。スケジュールが合う担当者がいれば、内見現場に向かわせることも可能だ。そして、内見の際に生じる鍵のやり取りという面倒な手続きが不要になる。
今回ファミリーネット・ジャパンが発表したサービスでは、スマートロックにはQrioが開発した「Qrio Smart Lock」を採用し、無線LAN経由でインターネット側からも操作できるように「Qrio Hub」も設置している。Qrio Smart LockはBluetooth Low Energy(BLE)の通信機能を持っており、スマートフォンとBLEで通信することで開場操作などが可能になっている。Qrio Hubは住宅にある無線LANルーターと無線LANで通信する機能を持ち、無線LAN側からの通信をBLEに変換してQrio Smart Lockに届ける。これで、Qrio Smart Lockがインターネット上のシステムと連携可能となる。
図 Qrio Smart Lockは扉の内側に取り付けるだけで良い。扉の外側には何も取り付けない
出所 Qrio
そしてファミリーネット・ジャパンは内見期間中だけでなく、入居者決定後もスマートロックを引き続き使ってもらうことを想定している。不動産管理会社に代わって、入居者が管理できるように設定を変更し、外出先から施錠したかどうか確認可能にする機能や、実際の鍵を持ち歩くことなく、施錠解錠が可能になるなどの便利な機能を入居者にも利用してもらいたいと考えているという。
このサービスの利用料金は、初期導入費用が1戸当たり3万2500円(税別:以下同様)。月々の利用料金が1戸当たり350円。ただし利用するには別途、ファミリーネット・ジャパンが提供するインターネット回線が必要になるという。
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ファミリーネット・ジャパン