[ニュース]

NTTコムウェア、深層学習で施設の異常などを検知するクラウドサービスを販売開始

2017/06/28
(水)
SmartGridニューズレター編集部

NTTコムウェアは、施設の異常検知や不良品検知などに利用できるクラウドサービスを6月30日に発売すると発表した。

エヌ・ティ・ティ・コムウェア(NTTコムウェア)は2017年6月27日、施設の異常検知や不良品検知などに利用できるクラウドサービス「Deep Learning画像認識プラットフォーム」《クラウド版》を6月30日に発売すると発表した。また、マンションなどの建造物の品質検査を手掛けるフロンティアコンストラクション&パートナーズと共同で、新築マンションの竣工検査にこのサービスを活用する実証実験を7月から実施することも発表した。

NTTコムウェアが今回提供を始めるサービスは、静止画データをGPUによる深層学習で分析し、異常が発生している部分を検出するというもの。建物などの施設の保全、点検のほか、監視、警備、さらには工場の生産ラインにおける不良品検出などといった用途を想定している。どれも経験を積んだ専門家の目がものを言う分野だ。NTTコムウェアは、専門家の高齢化が進むが後継者の育成が進まず、技術の継承ができないという現場に向けてこのサービスを提供する。

サービス提供開始時点では、深層学習の学習モデルの学習は済ませているので、利用者は点検したい部分の写真データを提供すればよい。利用者が増えれば増えるほどデータが集まるので、さらに学習モデルを学習させて、検出精度を上げることが可能になっている。ただし、顧客によっては画像データを異常検出以外の用途で使用することを望まないことがある。そのような場合、対象のデータは学習用データからは外す。

フロンティアコンストラクション&パートナーズと共同で実施する実証実験では、同社が請け負う新築マンションの竣工検査の中でも、仕上げ面各所のキズ、汚れなどの不良を検査する「仕上検査」にNTTコムウェアのサービスを投入し、専門知識を持つ技術者の検出精度にどこまで迫れるかを確認する。この実証実験では汚れやキズがある場所の写真など数千枚の画像で学習させて、検出精度を向上させる予定だ。

図 マンションの竣工検査に深層学習サービスを投入して、専門知識を持つ技術者の検出精度にどこまで迫れるかを確認する

図 マンションの竣工検査に深層学習サービスを投入して、専門知識を持つ技術者の検出精度にどこまで迫れるかを確認する

出所 エヌ・ティ・ティ・コムウェア

今回のクラウド版に先立って、2017年3月から顧客拠点にGPUサーバーを設置し、そのサーバーで深層学習を実行して異常を検出する「インストール版」の提供を始めているが、クラウド版はサーバー導入などの初期費用なしで月々のライセンス費用だけで利用できる。インストール版は学習モデルの学習から始めなければならないが、社内規則や法規による制限のため、データを外部に出せないという場合や、クラウドとの通信の遅延を許容できないほど素早い判断が必要な現場にはインストール版が向くとしている。


■リンク
エヌ・ティ・ティ・コムウェア
フロンティアコンストラクション&パートナーズ

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