アメリカWaymo社は2017年7月14日、同社が開発した最新の自動運転車をアメリカ西部の特に暑さが厳しい場所に向かわせて、「耐熱試験」を実施したと発表した。Waymo社は、「私たちが開発した自動運転車は極寒の地でも、酷暑の場所でも問題なく動作を続けなければならない。当社の技術者は、そのような極端な環境でも問題なく動作するように私たちの自動運転車を設計しているはずだ」としている。実際、今年の早春には自動運転車でカリフォルニア州とネバダ州の境にあるレイクタホを訪れているという。その時、レイクタホでは記録的な量の積雪があり、寒冷地試験にはちょうど良い環境だった。
図 カリフォルニア州のデスバレー国立公園を走行するWaymo社の自動運転車
出所 Waymo社
今回の「耐熱試験ツアー」では3カ所を回った。まず、ネバダ州とアリゾナ州の境にあるデイヴィスダムに向かい、そこから3日間かけてネバダ州ラスベガス市街を目指し、その後でカリフォルニア州のデスバレー国立公園に入った。今夏、アメリカ西部には記録的な熱波が押し寄せており、1日の最高気温が50℃を超えることも珍しくない状況だ。その中で、モハーヴェ砂漠を走り抜けるだけでも同乗者はかなりの疲労を感じたのではないだろうか。
Waymo社は同社の自動運転車について、およそ1年間をかけて研究施設で極端な気候を再現して耐久試験を実施し、何の問題も発生しなかったとしている。そして、今回は人工的に作った環境ではなく、実際に厳しい気候にさらして、本当に耐えられるのかを確かめることを目的としているという。
このような試験を実施する理由として、自動車に搭載する電子機器は、どのような厳しい環境でも動作しなければならないという点を挙げている。猛暑でカンカン照りの日にスマートフォンを操作すると、突然停止してしまうことがあるが、自動車用システムにはこのような家電製品とは別次元の安全性、信頼性が必要だということだ。
さらに、今回の耐熱試験ツアーも目的の1つとして、極端な高温の中なるべく多くのそれぞれ異なる状況で自動運転車がどう動くのかを確かめることを挙げている。例えば混雑した道路でストップアンドゴーを繰り返すような状況や、長時間のアイドリング、山道の走行などなどだ。テストでは自動運転車のシステムの稼働状況を示す200種類以上のデータを1秒ごとに監視し、自社で開発した自動運転のためのセンサーシステムが正しく動作しているかを確認するとしていた。同時に、車室内の温度も監視し、同乗者が快適に過ごせているかも確かめるとしていた。
最初の目的地であるデイヴィスダム周辺には、急坂の砂漠道があり、そこを厳しい太陽光を浴びながら走行した。ラスベガス市街では、交通量が多い多数の車線がある道路で、目的の車線を選んで走行するという難易度が高い運転が必要だった。もちろんこの時も厳しい暑さにさらされていた。
そして、最後の目的であるデスバレー国立公園にたどり着いた。アメリカの国立公園では最も気温が高い場所であり、Waymo社によればアメリカ国内でももっとも高い気温を記録した地点の1つだという。特に「Furnace Creek(溶鉱炉のような小川)」という名の村落は暑さが厳しい。1913年7月10日には、気温56.67℃という記録を残しているほどだ。そして担当者は走行中に車内にいても不快なほど暑いと感じたという。車外に降り立つと、靴底が熱で溶けて、チューインガムのように地面にへばりつくようだったと語っている。
以上のような極端に厳しい環境で耐熱試験を実施した結果、Waymo社が独自開発したシステムには何の異常も発生しなかったという。これで、Waymo社の自動運転車を地上のどのような環境で走らせても大丈夫と自信を持てたとしている。砂漠のど真ん中だろうが、猛暑の日にエアコンをフル回転させながらの走行だろうが、Waymo社の自動運転車は同乗者が望む場所に確実に送り届けてくれるということだろう。
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Waymo社