アメリカWaymo社は2017年4月25日(現地時間)、一般市民を対象に自動運転車を無料で貸し出す「Early Rider Program」を発表し、利用希望者の募集を始めた。Waymo社は2009年にGoogleで始まった自動運転車の研究プロジェクトが分社化して、2016年にできた会社。Googleと同様、Alphabet傘下にある。
今回の募集対象はアリゾナ州のフェニックス都市圏の住民。募集ページに居住地の郵便番号を入力すると、自身の居住地が対象となっているかを確認できる。貸出期間は1年間の予定。貸し出す自動運転車は2種類用意した。1車種目はトヨタ自動車の「Lexus RX450h」に同社の自動運転機能を搭載したもの。もう1車種はイギリスFiat Chrysler Automobiles社の「Chrysler Pacifica Hybrid」に自動運転機能を搭載したもの。貸し出し車両は基本的には自動運転で運行するが、常時テストドライバーが同乗して走行状況を監視し、必要に応じてテストドライバーが自動運転車を操作する。
ちなみにWaymo社は2016年12月に、自動運転機能を搭載したChrysler Pacifica Hybridを100台用意したことを明らかにしている。さらに、今回のEarly Rider Programのために500台を追加で発注したことも発表した。
図 「Chrysler Pacifica Hybrid」に自動運転機能を搭載した車両
出所 Waymo社
Waymo社は、今回用意する自動運転車をなるべく多くの一般市民に使ってもらいたいとしている。しかし用意する台数に限りがあるので、申し込みを受けたらどのような用途で使うのかなどの項目を審査して、貸出対象者を選ぶとしている。そして、プログラム開始当初は、自動運転車の運行範囲をフェニックス都市圏内に限定するとしている。
自動運転車の安全性を問う質問に対してWaymo社は、2009年のプロジェクト開始からおよそ3百万マイルの試験走行を続けてきた実績を挙げている。これは一般的な運転者の利用頻度からすると、400年分の経験に当たるとしている。さらに、2016年にはコンピュータシミュレーションで10億マイル分の走行経験を積んだことも追記している。
Waymo社のCEOであるJohn Krafcik氏はEarly Rider Programを発表するブログ投稿で、「これまで私たちは自動運転車を支える技術に目を向けてきた。そのために何百万マイルも試験走行を続け、私たちが開発した自動運転車に運転技術を教え込んできた。そして、自動運転を支えるソフトウェアの改良も続けてきた。今こそ私たちの目を技術から、自動運転車によって恩恵を受ける人に移すときだ」と記し、同社の研究が技術から、利用者がどう使うのかという点に移ったことを宣言した。
そして、今回のEarly Rider Programを通して人々が自動運転車を使ってどこに行くのか、自動運転車とどのようにコミュニケーションを取るのか、どのような情報を求めるのかなどといったことについて研究するとしている。
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Waymo社