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イギリスのベンチャーが開発中の高性能EVを発表、クラウドファンディングで資金を募る

2017/09/05
(火)
SmartGridニューズレター編集部

Alcraft Motor社は、同社が開発している高性能電気自動車「Alcraft GT」の車体デザインと主な仕様を公開した。

イギリスAlcraft Motor社は2017年9月1日(現地時間)、同社が開発している高性能電気自動車(EV)「Alcraft GT」の車体デザインと主な仕様を公開した。同社はこの車種の量産を2019年内に開始する意向を示している。

図 Alcraft Motor社のEV「Alcraft GT」

図 Alcraft Motor社のEV「Alcraft GT」

出所 Alcraft Motor社

Alcraft Motor社は実業家のDavid Alcraft氏が、独自の電気自動車開発を目指して、イギリスMorgan Motor社やトヨタ自動車、フランスMichelin社などで働いていた技術者や経営幹部を集めて設立したベンチャー企業。そのAlcraft Motor社が設立以来、企画、開発を進めてきたEVがAlcraft GTだ。

Alcraft GTは、Chevrolet Bolt EVのような消費者向けの日用品ではない。極端な高性能を追求したスポーツカーだ。3つのモーターを搭載した4輪駆動車で、最大出力は600馬力に達する。車体には炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの複合材を多用して、車体重量を抑えた。その結果、停止状態から3.5秒で時速62マイル(時速約100km)まで加速するほどの性能を発揮するという。

内蔵する蓄電池の蓄電容量は明らかにしていないが、満充電状態からおよそ300マイル(約483km)の連続走行が可能だという。基本的には蓄電池のみで運用することを想定しているが、レンジエクステンダーとなるエンジンも搭載できる設計にしてあるという。また、車体後部には容積500リットルの収納スペースを用意していることも特徴だ。

Alcraft Motor社はAlcraft GTの量産に向けて、関係各企業の協力をすでに取り付けている。イギリスDelta Motorsport社には、電気自動車の駆動部や蓄電池の制御機構の開発で協力を得ている。Delta Motorsport社は、高級スポーツカーや、レース用車両の設計などで多くの実績を持つ企業だ。ほかにも、モーターコントローラーを開発販売するイギリスSevcon社や、複合材を開発しているイギリスKS Composites社の協力を取り付けている。さらに、世界的自動車メーカーと深い関係にある「Tier 1」メーカーも協力するという。ドイツのContinental社は安全確保のための技術を提供し、フランスのMichelinはふさわしいタイヤを提供する。

ところが、Alcraft Motor社は開発資金が不足しているようで、クラウドファンディングで資金集めを始めた。目標は60万ポンド(8520万円:1ポンド=142円で換算)。一口10ポンド(1420円)から投資可能で、最大で一口2万5000ポンド(355万円)を提供できる。Alcraft Motor社は集めた資金で仕様どおりの性能を発揮する試作車を開発するとしている。また、クラウドファンディングで協力してくれた人には抽選で、Alcraft GTの試作車に試乗する機会を提供するという。そのために、Alcraft Motor社の本社のすぐそばにあるシルバーストーンサーキットを会場として用意するという。ほかにも、協力者への返礼品として電動バイクや腕時計を提供するとしている。


■リンク
Alcraft Motor社

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