東京エレクトロン デバイスは2017年11月28日、機器の異常を機械学習で判別するプログラムを自動生成するアプライアンス「CX-M」を開発、発売した。工場の製造機器の異常判別への利用を想定したもので、価格は99万5000円(税別;年間使用料込み)。2年目以降の年間使用料は72万円(税別)。外形寸法は165×190×43mm。中身はIntelのx64プロセサを搭載し、OSとしてLinuxをインストールしたパソコンだ。
図 異常判別プログラムを自動生成アプライアンス「CX-M」(左)。データさえ用意すれば、GUIの簡単な操作だけでプログラムを自動的に生成する(右)
出所 東京エレクトロン デバイス
一般に、製造機器の異常を検知するプログラムや、故障時期を予測するプログラムを作るには、振動や音など機器の状態を示す時系列のデータを集め、そのデータを解析して最適な機械学習モデルを構築する必要がある。しかし、機械学習モデルの構築はデータサイエンティストなど専門知識を持った一部の人材にしかできない作業であり、専門の業者に依頼するしかない。
ところがCX-Mを使えば、ユーザーは時系列のデータを用意して読み込ませ、GUIのユーザーインターフェイスで簡単な操作をするだけでよい。CX-Mが備える東京エレクトロン デバイス独自開発のソフトウェアがデータを分析し、不要なデータを取り除くクレンジングやデータからの特徴抽出といった作業を経て、自動的に機械学習の学習モデルを作成してくれる。さらに、作成したモデルが異常を判別する精度も検証も自動で済ませる。CX-Mは生成したプログラムを出力するので、これをクラウドや自社内のサーバーなどに組み込めば利用できる。
判別精度検証の段階では、精度を数値で表示する。この値は入力したデータ量やクレンジングのアルゴリズムに応じて変動する。ユーザーは用意したデータを入力した後、判別精度を数値で確認することで、異常検知や故障時期予測に使えるかどうか判断できる。
さらに、出力したプログラムを東京エレクトロン デバイスのクラウドサービス「Connexon」で利用することも可能だ。Connexonは2017年7月から正式提供が始まったサービスで、IoTシステムのアプリケーションをGUIの簡単な操作だけで作成可能としたものだ(参考記事)。「データベーステーブルへのレコードのインサート」「HTTPノード間転送」「WebSocket通信」「FFT」「クラウド連携」などの機能を「コンポーネント」というプログラム部品として用意しており、コンポーネントを線でつなぎ合わせて簡単な設定をするだけでアプリケーションを作成できる。CX-Mで生成したプログラムに機能を付け加えて、より多機能なアプリケーションを簡単に作成できる。
また東京エレクトロン デバイスは、CX-Mの導入を検討するユーザーを対象に、判別精度を診断するサービスを無料で提供する。ユーザーは時系列のデータを用意して、東京エレクトロン デバイスに提供すればよい。用意したデータで生成した機械学習モデルの判別精度を確認して回答する。
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