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東電F&Pが富津火力発電所で6軸目の設備更新を完了、残すは7軸―2019年8月に完了予定

2017/12/26
(火)
SmartGridニューズレター編集部

東電F&Pは、同社が運営する「富津火力発電所」の改良工事が一部完了したと発表した。

東京電力フュエル&パワー(東電F&P)は2017年12月26日、同社が運営する「富津火力発電所」(千葉県富津市新富:しんとみ)の改良工事が一部完了したと発表した。富津火力発電所には液化天然ガス(Liquefied Natural Gas:LNG)を燃料とするガスタービンコンバインドサイクルの「1号系列」「2号系列」「3号系列」「4号系列」が稼働している。今回の改良工事の対象は1986年11月稼働開始の1号系列と、1988年11月稼働開始の2号系列。どちらも老朽化が進んだため、最新設備に入れ替えることで発電効率を向上させ、燃料費を削減する狙いがある。ガスタービンと蒸気タービンをセットにした「軸」を最新のものに入れ替える工事だ。

図 富津火力発電所の全景

図 富津火力発電所の全景

出所 東京電力フュエル&パワー

富津火力発電所の1号系列には6つの軸があり、2号系列には7つの軸がある。東京電力フュエル&パワーは、この合計13軸をおよそ3年掛けて1つずつ更新する計画を立てている。設備更新更新工事は、2016年7月から始まった。このときは2号系列の第1軸を交換した。その後、2017年3月には2号系列の第5軸、6月には1号系列の第1軸、7月には1号系列の第1軸、8月には2号系列の第7軸、9月には1号系列の第4軸の交換がそれぞれ終了し、今回は1号系列の第2軸の交換が終わった。

1号系列第2軸の交換が完了したことで、発電効率が47.2%から50.5%に向上し、発電出力が165MW(16万5000kW)から167MW(16万7000kW)に上がった。今回の工事完了で、燃料費を年間でおよそ6億円、CO2排出量をおよそ3万トン削減できるという。

1号系列は全6軸のうち第2軸と第4軸だけ蒸気タービンの型が異なるため、交換によって得られる効果が多少小さくなる。第2軸と第4軸を除く4軸は、交換で発電効率が発電効率は47.2%から51.4%に向上し、発電出力は165MWから167MWに改善する。

これで残るのは1号系列の第3軸、第5軸、第6軸、2号系列の第2軸、第3軸、第4軸、第6軸の合計7軸だ。東京電力フュエル&パワーは、2018年3月に2号系列の第2軸、5月に1号系列の第3軸、8月に2号系列の第4軸の交換工事を完了させる予定を立てている。2019年は1月に1号系列の第6軸、3月に2号系列の第6軸、5月に1号系列の第5軸、8月に2号系列の第4軸を交換する予定。

東京電力フュエル&パワーは燃料費とCO2排出量の大幅な削減を狙って、首都圏にあるガスタービンコンバインドサイクルによる発電設備の更新を進めている。12月14日には「横浜火力発電所」(神奈川県横浜市鶴見区)の7号系列と8号系列の合計8軸の交換工事を完了させている(参考記事)。この結果、全8軸の発電効率が54.1%から55.8%まで改善し、1軸当たりの出力は1400MW(140万kW)から1508MW(150万8000kW)に向上した。一方で年間の燃料費は合計でおよそ80億円、CO2排出量も合計で年間24万トン削減できる見通しだという。


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東京電力フュエル&パワー

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