中部電力、Nayuta、インフォテリアの3社は2018年3月1日、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)への充電履歴をブロックチェーンで管理する実証実験を実施すると発表した。実験は中部電力の技術開発本部で実施する。
図 現在のところ、集合住宅にはEV/PHEV用充電器を導入しにくい
出所 中部電力
今回の実証実験は集合住宅など、1つの充電器を多数の利用者で共用する場合を想定している。例えば集合住宅では、入居者がEVを購入しても管理組合やオーナーが充電器の導入に積極的でないということがある。その背景には、充電器が使用する電力の料金を誰が払うのかという問題がある。
集合住宅の共益費で払ってしまうと、EVを持たないほかの入居者にも負担を強いることになる。いつ、誰が、どれくらい充電したかの記録を簡単に残せれば、利用者に正しい料金を請求できるが、それには料金を投入して利用するような充電器など、大がかりな設備が必要になってしまう。そこで今回の実験では、簡易な充電器でも利用履歴を残せることを実証する。
実験では、Nayutaが開発したブロックチェーン対応充電コンセントと、インフォテリアが開発したスマートフォンアプリを利用する。利用者がスマートフォンアプリで充電器を利用したい時間を予約し、その時間になったらEVあるいはPHEVをブロックチェーン対応充電コンセントに接続し、ボタンを押して充電する。
いつ、誰が、どれくらい充電したのかといった記録はブロックチェーンに自動的に記録し、その記録をさかのぼって調べることで、月ごとや週ごとなど、一定期間内の利用時間を利用者ごとに算出できる。記録の改ざんが事実上不可能というブロックチェーンの特質から、利用履歴の記録は強固なセキュリティで守ることができる。
今回の実験に取り組む3社は、この技術を利用することで集合住宅のオーナーなどが少ない初期費用でEV/PHEV向けの充電器を導入できると考えている。また、新たなサービスが生まれるきっかけにもなるとしている。今後3社は、実証実験で浮かび上がる技術的課題を解決し、商用サービスの開発につなげるとしている。