デンマークØrsted(エルステッド)は2018年4月25日(中央ヨーロッパ時間)、イギリス・リヴァプールの「Carnegie Road」に巨大リチウムイオン蓄電池を設置すると発表した。蓄電池の出力は20MW(2万kW)で、アメリカNEC Energy Solutionsの「GRID STORAGE SOLUTION(GSS)」を採用する。NEC Energy SolutionsはNECの100%子会社で、マサチューセッツ州ウェストボローに本社を置いている。
図 NEC Energy Solutionsの「GRID STORAGE SOLUTION」を設置したところ。物流コンテナに蓄電池システムとして必要なものをすべて詰め込んでいる
出所 NEC Energy Solutions
この巨大蓄電池は、イギリスにØrstedが始めて設置するものとなる。Ørstedがイギリスの巨大蓄電池市場に参入する象徴とも言うべきものになるわけだ。Ørstedは洋上風力発電に力を入れていたが、2017年に大規模蓄電池市場に参入する方針を定め、準備を進めてきた。今回設置する巨大蓄電池についても、すでに建設の許可と、電力系統に接続する許可を取得しており、5月には工事を開始する予定。運転開始は2018年末の予定。
Ørstedは今回設置する巨大蓄電池の用途について、「電力需要のピーク時と最小時の変動を少なくして、電力系統を安定させるため」と語っている。Ørstedで大規模蓄電池と太陽光発電を統括しているRyan O'Keefe氏は「この蓄電池は地域の電力系統を安定させるためのサービスを提供する上で重要な役割を果たすだろう」と語っている。
そしてØrstedは、イギリスで電力系統安定のために蓄電池が余剰電力を吸収したり、周波数を安定させるために電流を流すといったサービスの需要が高まりつつあるとしている。Ørstedは、今回設置する大型蓄電池を使って電力系統を安定させるための有料サービスを展開すると考えられる。