富士電機は2018年5月10日、開発を続けていた業務用SOFC(Solid Oxide Fuel Cell:固体酸化物形燃料電池)の実証評価が終了し、開発にめどが立ったと発表した。これは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けて続けていたものだ。
図 実証評価に使っていた試作機
出所 富士電機
富士電機は1998年にPAFC(Phosphoric Acid Fuel Cell:りん酸形燃料電池)を開発して発売している。それ以来、世界5カ国に86台を販売してきた。しかし、PAFCの発電効率は40%前後。一方SOFCは50%以上の発電効率を期待できる。そこで富士電機は2014年度からNEDOの助成を受けて出力50kW級のSOFCの要素技術開発と実証評価に取り組んできた。
2017年度は、同社の千葉工場内で評価機の実証試験を実施し、基本的な性能と体重性を評価し、3000時間以上の安全運転が可能であることを確認している。今回の評価終了により、富士電機は2018年度内に出力50kW級のSOFCを発売する意向を示している。
富士電機は発売する製品について、現時点で想定できる仕様を公開している。出力は50kW級で定格電圧は交流210Vあるいは220V。燃料は都市ガスで発電効率は55%。SOFCセルが発電時に発生する熱は30%の効率で回収して利用できる。その結果、総合効率は85%となる。外形寸法は5000×2200×2800mm。
富士電機はこれから発売するSOFCを、主にホテルや病院などの施設で活用できると想定して、顧客に提案を始める構えを見せている。
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