アサヒグループホールディングスと国立大学法人九州大学は、ビール工場の排水から精製したメタンガスでSOFCを駆動し、発電時間が2000時間を超えたと発表した。
アサヒグループホールディングスと国立大学法人九州大学は2018年5月15日、ビール工場の排水から精製したメタンガスでSOFC(Solid Oxide Fuel Cell:固体酸化物形燃料電池)を駆動し、発電時間が2000時間を超えたと発表した。現在でも順調に発電を続けているという。この研究はアサヒグループホールディングスのR&Dセンターと、九州大学次世代燃料電池産学連携研究センターが2016年度から共同で実施している。
SOFCは高い効率で発電する電源として普及しているが、現時点では燃料として都市ガスを利用することが多い。水素を燃料とする場合でも、その水素を生産する過程で化石燃料を使用している。研究チームはこの点から、現時点ではSOFCがCO2削減効果を発揮できていないと考え、この研究に着手した。
ビール工場の排水を精製するとバイオガス(メタンガス)を得られる。アサヒグループは国内8カ所にあるビール工場と、5カ所にある飲料工場で排水からバイオガスを精製する嫌気性排水処理設備を導入し、精製したバイオガスをボイラーなどの燃料として利用している。
このガスをSOFCで利用する上で最大の問題となったのが、ガス中に存在する不純物だという。不純物がSOFCセルに付着すれば、発電の障害となってしまう。ガスをSOFCで利用するには不純物を除去する必要があるが、その設備の導入コストが高くなってしまうと普及が進まない。研究グループは今回、低コストかつ高効率でバイオガスから不純物を除去する設備を開発した。
図 ビール工場の排水から精製したバイオガスでSOFCを駆動させる過程
出所 アサヒグループホールディングス
現時点で試験用SOFCは2000時間を超えても順調に稼働しており、研究グループは最長1万時間の連続発電を目指すとしている。そして、今回開発した設備を確立できれば、ビール工場だけでなく食品工場など嫌気性排水処理設備を導入している工場、施設でもSOFCを活用でき、その結果としてCO2排出量削減に貢献できるとしている。
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