積水化学工業は2018年6月20日、同社が環境中期計画で示したCO2の長期削減目標を「SBTイニシアティブ」での認証を申請し、世界の化学企業で初めて承認を受けたと発表した。SBT(Science Based Targets)イニシアティブとは、国連が設立したUN Global Compact、都市や自治体などのCO2排出量を調査公開しているCarbon Disclosure Project、世界自然保護基金(WWE:World Wide Fund for Nature)などが設立した団体。世界の企業を対象に、科学的に根拠があるCO2削減目標の設定を支援している。2018年4月には、積水ハウスが同社のCO2排出目標が科学的に根拠があるとSBTイニシアティブから認定を受けている(参考記事)。
積水化学工業が示した目標はCO2排出量のうち、「スコープ1、スコープ2」と「スコープ3」に分けたものになっている。スコープ1は企業自身の活動によって排出するCO2を指し、スコープ2は他社から供給を受けた電気、熱、蒸気の消費で発生するCO2を指す、スコープ3は事業者の活動に関連して他社が排出する温室効果ガスなどを指す。スコープ3は範囲が広く、事業者が販売する商品の輸送や、事業者が販売した商品を使用、廃棄したことによる温室効果ガスなども対象となる。
図 「スコープ1」「スコープ2」「スコープ3」の大まかな分類
出所 環境省
今回、積水化学工業がSBTイニシアティブから承認を受けたCO2削減目標は、スコープ1とスコープ2については2030年度までに2013年度比で排出量を26%削減し、スコープ3については2016年度比でCO2排出量を27%削減するというもの。スコープ1とスコープ2については、設備改善に向けた投資や、生産活動の改善によるエネルギー消費量削減、再生可能エネルギーを利用した自家発電やエネルギー調達先の見直しなどで達成するとしている。
スコープ3については、大きく「原材料の調達」と「製品の使用」の2段階に分けてCO2排出量を削減していく。原材料の調達についてはまず、新規材料採用時の選定基準を見直す。すでに大量に購入している原材料については、サプライチェーンに関係する企業も巻き込んでCO2排出量を2030年度までに2016年度比で20%削減する。製品の使用については、同社が販売する住宅のうちZEH(Net Zero Energy House)仕様のものの比率を上げていき、消費者が住宅を使用する際のエネルギー量削減に貢献し、2030年度までに2016年度比で50%削減する。
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